ジェトロの2025年度中東投資コスト比較調査、テルアビブ、リヤドで高い賃金水準

(中東、アラブ首長国連邦、イスラエル、イラン、サウジアラビア、トルコ)

調査部中東アフリカ課

2025年12月10日

ジェトロは12月4日、調査レポート「2025年度 中東投資関連コスト比較調査(2025年12月)」を公表した(注1)。2025年7~10月に中東の5カ国5都市〔アラブ首長国連邦(UAE、ドバイ)、イスラエル(テルアビブ)、イラン(テヘラン)、サウジアラビア(リヤド)、トルコ(イスタンブール)〕を対象に賃金や地価・事務所賃料、公共料金、輸送費などの投資関連コストを調査し、取りまとめた。

賃金は引き続きテルアビブとリヤドで高い水準

賃金については、製造業と非製造業ともに、テルアビブとリヤドが相対的に高い水準となった。製造業では5都市の中で、テヘランが最も安く(月額195~306ドル)、非製造業ではドバイが全職種・クラスで前年度調査から増加した。各都市の月額の賃金(ワーカー/スタッフ~課長クラス)は次のとおり。

  • テルアビブ:製造業(2,087~9,541ドル)、非製造業(2,032~6,559ドル)
  • リヤド:製造業(サウジアラビア人:2,133~5,333ドル、非サウジアラビア人:1,067~5,333ドル)、非製造業(サウジアラビア人:4,201~7,853ドル、非サウジアラビア人:2,604~5,266ドル)
  • イスタンブール:製造業(1,024~5,230ドル)、非製造業(755~6,824ドル、注2)
  • ドバイ:製造業(1,074~4,501ドル)、非製造業(681~5,565ドル)
  • テヘラン:製造業(195~306ドル)、非製造業(242~293ドル)

ドバイで事務所賃料が前年度調査から大きく上昇

地価・事務所賃料などについては、1平方メートルあたりの工業団地借料(月額)ではテルアビブが15ドルで最も高く、ドバイとイスタンブールで前年度調査から上昇した。1平方メートルあたりの事務所賃料(月額)では、ドバイが前年度調査から2倍以上の158.48ドルだった。なお、地価や事務所賃料などの項目では、テヘランが相対的に低い価格となった。

コンテナ輸送費は対日輸出では上昇も、対日輸入では下落

コンテナ輸送費(40フィートコンテナ)については、対日輸出では、前年度調査と比較可能な4都市(ドバイ、テルアビブ、リヤド、イスタンブール)全てで前年度調査から上昇した。特にドバイで2,700ドルと最も高く、リヤドでは前年度調査から3.5倍となった。一方、前年度調査では前述4都市すべてで上昇していた対日輸入については、今年度は4都市全てで、前年度調査から下落した。

(注1)各調査対象国の現地通貨は2025年9月1日付もしくは9月2日付の銀行間レートなどでドル換算している。世界各地域、過去の投資コスト比較調査は「特集 ジェトロのビジネス環境調査-投資関連コスト比較調査-」を参照。

(注2)調査ではイスタンブールでの人件費について、「トルコ語のみ」と「英語・日本語の両方あるいは一方が可」の人材で分類しているものの、本文では区別せずに記載。

(加藤皓人)

(中東、アラブ首長国連邦、イスラエル、イラン、サウジアラビア、トルコ)

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