トランプ米大統領、アフリカ諸国を中心に39カ国の外国人の入国を制限

(米国)

ニューヨーク発

2025年12月19日

米国のドナルド・トランプ大統領は12月16日、国家安全保障と公共の安全確保を理由に、入国制限対象国を39カ国に拡大する大統領布告を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同日にファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも公開した。制限措置は2026年1月1日から有効になる。2025年6月に公布した19カ国を指定した入国制限(布告10949号)に続く措置となる(2025年6月6日記事参照)。

全面的に入国を制限する対象国については、布告10949号に基づき高リスク国に指定していた12カ国(注)に加え、最近の分析を基にブルキナファソ、マリ、ニジェール、南スーダン、シリアの5カ国、部分的制限として指定していたラオスとシエラレオネの2カ国を新たに加えた。さらに、パレスチナ自治政府が発行した書類を所持する者も入国禁止とした。

部分的制限の対象国には、アンゴラ、アンティグア・バーブーダ、ベナン、コートジボワール、ドミニカ、ガボン、ガンビア、マラウイ、モーリタニア、ナイジェリア、セネガル、タンザニア、トンガ、ザンビア、ジンバブエの15カ国を新たに追加した。

また、もともと高リスク国として指定していた7カ国のうち、ブルンジ、キューバ、トーゴ、ベネズエラの4カ国を引き続き部分的制限の対象国とした。3カ国(ラオス、シエラレオネ、トルクメニスタン)の制限解除理由については、トルクメニスタンの例を挙げ、前回の大統領布告以降、米国に及ぼすリスクを判断するための十分な情報を提供するなどの協力姿勢がみられた、と理由を説明している。

なお、これら入国制限措置は、米国の永住権を保有する外国人、既存のビザ保持者、アスリートや外交官などには適用されない。また、家族ビザ申請は、米国の国家安全保障と公共の安全にリスクがあると特定された国々からの移民ビザ申請の大部分を占めているため、不正リスクのある家族ビザの免除規定を制限しつつも、個別審査による免除は維持する。

トランプ氏は前回と同様、指定国の外国人によるビザ超過滞在率の高さおよび移民当局や執行機関の負担の増加を問題点として挙げた。今回の拡大措置は、2025年1月20日公布の大統領令14161号および同年6月4日大統領布告10949号に基づく報告または国別情報を踏まえ、米国の国家安全保障と公共安全を守るため、追加の国の国民の入国を制限または制約する必要がある、との判断に基づいて行った。

トランプ政権は今回の入国制限拡大措置のほか、中国人留学生を中心とした外国人留学生への積極的なビザ取り消し(2025年6月2日記事参照)、ハーバード大学の留学生へのビザ制限に関する大統領布告の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなど、移民制限を強める措置を講じている。

(注)アフガニスタン、ミャンマー、チャド、コンゴ共和国、赤道ギニア、エリトリア、ハイチ、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメン。

(久峨喜美子)

(米国)

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