ロシアのプーチン大統領がインド訪問、モディ首相と会談

(インド、ロシア、米国)

ニューデリー発

2025年12月26日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は12月4~5日にインドを国賓として訪問し、ナレンドラ・モディ首相と会談した。プーチン大統領がインドを初めて国賓訪問した2000年10月から25周年に当たる今回、両首脳は「特別で特権的な戦略的パートナーシップ」の関係を再確認し、政治、防衛、貿易投資、エネルギー、科学技術、原子力、宇宙など各分野における相互協力を引き続き進めることを宣言した。

会談後の共同声明では、2030年までに両国間の貿易額を1,000億ドルに拡大させる目標の達成に向けた取り組みや、ロシアなど5カ国が加盟するユーラシア経済連合(EAEU)とインド間の自由貿易協定(FTA)締結に向けた共同作業の実施に言及、石油・石油製品、LNG(液化天然ガス)・LPG(液化石油ガス)、原子力などエネルギー分野での協力も重要な柱として強調された。

一方、防衛分野では、技術移転や合弁企業設立を通じて、ロシア原産の武器・防衛装備の保守用部品などのインド国内生産を奨励することに合意した。また、テロや過激派による組織犯罪などの脅威に対する2国間・多国間連携の強化を再確認し、アフガニスタンに活動拠点を置く国際テロ組織との戦いにおける連帯への自信や、ガザ地区における人道的な状況への懸念を表明した。なお、共同声明にウクライナ情勢への言及は盛り込まれず、モディ首相が会見で「インドは最初から一貫して平和を提唱している」と述べるにとどまった。

今回の会談は、米国のドナルド・トランプ大統領が対ロシア制裁の一環としてインドにもペナルティーを科す中で行われたことでも注目された。インドは2025年8月27日以降、ロシア産石油の輸入を理由に米国から計50%の追加関税を課され、米印間の溝が広がっている(2025年8月7日記事2025年8月8日記事参照)。今回の印ロ首脳会談の開催が、現在進められている米印間の通商交渉に影響するかどうかは、有識者の間でも見方が分かれている(「ミント」紙2025年12月5日)。

(サンディープ・シン、広木拓)

(インド、ロシア、米国)

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