在欧日系企業、調達と販売の両方で近隣国重視の傾向が続く
(欧州、EU、日本)
調査部欧州課
2025年12月26日
ジェトロが12月17日に発表した「2025年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」(2025年12月17日記事参照)によると、回答企業は、調達および販売の両方において、所在国や近隣国を重要視する傾向が続いていることが分かった。
部品・原材料の調達先に関する設問では、「所在国」(19.4%)と「EU域内国(所在国を除く)」(21.2%)の合計が40.6%で、「日本」(36.4%)を上回った。現地や近隣諸国からの調達の傾向がうかがえる。特に在中・東欧日系企業でその傾向が強く、日本からの調達割合は前年比で5.5ポイント減少し18.5%と2割を下回った一方、「所在国」と「EU域内国(所在国を除く)」の合計は2.4ポイント増の54.3%だった。今後の調達方針に関しても、「所在国」での調達は在EU日系企業全体では18.4%、中・東欧の日系企業では23.3%が「拡大」の方針を示した。「EU域内(所在国を除く)」での調達で「拡大」の方針を示したのは、在EU日系企業全体では25.8%、中・東欧の日系企業では29.9%だった。
製品の販売先については、「所在国」「EU域内国(所在国を除く)」「所在国・EUを除く欧州」の合計である欧州圏が引き続き8割以上を占めた。在中・東欧日系企業においてその傾向が強く9割を超えた。今後の販売方針については、「所在国」での販売は在EU日系企業全体の33.1%が「拡大」と回答、「EU域内(所在国を除く)」への販売については在EU日系企業全体の46.6%が「拡大」と回答した。
将来有望な販売先としてみている国・地域についての設問では、ポーランドが7年連続で首位となり、2位と3位もそれぞれ前年同様にトルコとドイツだった。経済成長が堅調なスペインが前年の9位から6位に上昇した。
日本がEUと締結している経済連携協定(EPA)を利用している割合は、日本からEUへの輸入および輸出においていずれも前年比で増加し、それぞれ66.2%と53.1%だった。特にEUへの輸入は大企業・中堅・中小企業、製造業・非製造業を問わずすべての区分で6割を超え、利用が浸透していることがうかがえる。英国と締結しているEPAの利用割合は、英国への輸入は45.8%、輸出は26.7%だった。
英国のEUからの離脱を受けて両地域が締結したEU英国通商・協力協定(TCA)の利用状況は、EUから英国への輸出では3割強の回答企業が既に利用。国別では、英国との地理的距離の近い国での利用割合が高かった。英国からEUへの輸出は25.8%の企業が既に利用し、特に食品・農水産加工品は6割超と利用割合が高かった。
(牧野彩)
(欧州、EU、日本)
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