欧州委、デジタルサービス法対応に関し、アリエクスプレスへの2つの主要な措置発表
(EU、中国)
調査部欧州課
2025年06月23日
欧州委員会は6月18日、デジタルサービス法(DSA)に基づき、中国のアリババが運営するECサイト「アリエクスプレス(AliExpress)」に対する2つの主要な措置を発表した。
第1に、同社が提示した一連のコミットメントを受諾し、法的拘束力のあるものとして認定した。これには、違法商品の検出・監視システム、違法商品を特定する通報・対応メカニズム、広告や推薦アルゴリズムの透明性、取引業者のトレーサビリティー、研究者向けのデータアクセスなどが含まれる。これにより、登録ユーザーか非登録ユーザーかを問わず、違法コンテンツ拡散を防ぐための情報とツールが利用可能となる。アリエクスプレスはこれらの措置の実施状況を監視する内部体制を維持し、定期的なリスク評価活動に反映させることと、独立した監視機関に定期的な報告書の提出が義務付けられた。
第2に、アリエクスプレスがDSAに基づく違法商品の流通に関連するリスクの評価と、それを軽減する義務に違反していると暫定的に認定した。具体的には、(1)違法商品の流通を防止するためのシステムに割くリソースが少ないために起こり得るリスクの過小評価、(2)違法コンテンツを繰り返し投稿する事業者に対する適切なペナルティーポリシーの実施、(3)コンテンツモデレーションシステム上の欠陥によるシステムの有効性の低下などだ。
これらの認定結果は、偽造品や欧州の安全規則に準拠していない商品など、違法コンテンツの流通に関連するシステムリスクを適切に評価し軽減するという非常に大規模なオンラインプラットフォーム(VLOP)の義務違反に当たるとした。アリエクスプレスには今後、調査資料の閲覧と反論の機会が与えられる。欧州委の暫定的見解が最終的に承認された場合、罰金を科すことになる。
欧州委は2023年4月に、DSAの下、VLOPを指定している(2023年5月2日記事参照)。2025年5月15日には中国企業が運営する動画共有アプリ「TikTok」に対し、DSA違反を暫定的に通知した(2025年5月21日記事参照)。また、米国のX(旧Twitter)に対しても、2024年7月に違反を暫定的に通知している。
(坂本裕司)
(EU、中国)
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