米運輸省、自動運転車実用に向け、安全基準適用の考察を完結
(米国)
ニューヨーク発
2025年12月17日
米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は12月11日、自動運転車(AV)に関する研究プロジェクト「自動運転システム搭載車両に関する連邦自動車安全基準(FMVSS)の考察」
を発表した。2020年に第1回目が発表された同考察は今回第4回目
となり、最終報告に当たる。一連の考察は、手動の運転操作装置を備えていない自動運転システム専用車両(ADS-DVs)の実用化にあたり、既存の安全基準上で想定される規制上の障壁や論点を整理するもので、AVの運用を見据えた安全基準を策定する際の基礎資料として位置づけられている。
今回の考察は、FMVSS(連邦行政命令集タイトル49パート 571
)のうち、規則を構成する語彙の定義のほか、乗用車、大型トラックのブレーキおよび電子安定制御の試験方法や、後方衝突やプラットフォームリフトシステム(注)の技術的解釈、および非従来型座席の安全対策などを含むこれまで未整理だった23項目を対象に行われた。なお、第1回および第2回の考察では、衝突回避基準と衝突安全基準を中心に計24項目、第3回では座席設計に関する衝突安全基準などを含む28項目が整理された。
今回の発表に際しNHTSAのジョナサン・モリソン長官は「自動運転車の未来は、すぐそこまで来ている。ドナルド・トランプ大統領とショーン・ダフィー運輸長官のリーダーシップのもと、NHTSAにおけるわれわれの使命は、安全性を向上させ、米国のイノベーションを支援する基準を策定することだ。今回の考察はまさにその目的を果たすものであり、われわれの規制が、道路の安全性を向上させる技術にとってどのような障壁となり得るのかをより深く理解する手助けとなる」と述べた。トランプ政権は4月、AV導入の加速に向けた「自動運転車の枠組み(Automated Vehicle Framework)」を発表し、中国との技術競争の中で国家としての競争力を高める施策であると強調。また6月には、AVの商用化を促進するため、安全基準の適用免除手続きを簡素化するなど、実運用を見据えた取り組みを進めている(2025年4月30日、2025年6月24日記事参照)。
(注)移動能力が制限されている人の車両への乗降を補助するために使用されるシステムのこと。
(大原典子)
(米国)
ビジネス短信 48a0f449d58c9318




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