山陰地域(鳥取県・島根県)の食品を海外へ、食品バイヤー招聘商談会を実施
(日本、オランダ、メキシコ)
鳥取発
2025年12月15日
ジェトロは、12月1~3日、「山陰海外バイヤー招へい食品商談会」を鳥取県と島根県のジェトロ事務所が共同で開催した。両県の食品関連企業15社が26件の商談を行った。2024年度に続いて2回目の開催となる本商談会では、両県企業の販路多角化を目的として、EU圏の物流ハブとなる港湾を持つオランダと、米国の追加関税措置の影響で日本からの直送形式での輸入増加が期待されるメキシコ(2025年4月21日記事参照)から2社のバイヤーを招聘(しょうへい)した。両社とも、飲食店などへの日本食品の卸売りや、自社で日本食レストランの経営を行うほか、オランダのバイヤーについてはEC(電子商取引)サイトを通じた日本食品の小売りも行っている。今回は、水産品・水産加工品、日本酒、調味料などの新規商品を求めて、鳥取県・島根県に来訪した。
12月1~2日は、鳥取県・島根県の食品および酒造事業者を訪問し、製造工程の見学を交えながら商談を実施した。酒造事業者を訪問した際、使用する酒米の特徴や仕込みへのこだわりについて、2社のバイヤーはそれぞれの酒蔵からの説明を熱心に聞き、これまで海外市場で評価される機会の多かった吟醸酒だけでなく、まだ欧州の市場であまり流通していないタイプの酒として、低精米が特徴の純米酒などにも関心を持つ場面がみられた。
酒造見学の様子(ジェトロ撮影)
3日は、米子市の会場で個別に商談会を実施した。商談をした企業からは、「今後の製品開発に向けての課題が鮮明になった」「日本酒の知識があるバイヤーだったため、非常に話しやすく、お酒の取り扱いも安心できる」といったコメントがあった。バイヤーからも、「自社のソムリエにも試食・試飲させて商品の取り扱いを検討していきたい」「メキシコは世界有数の観光国であるため(2025年6月19日記事参照)、観光業界をターゲットに日本食を売り込んでいきたい」といった前向きな声が聞かれた。
一方で、水産品・水産加工品については、魅力的な商品であってもEU HACCPの取得が障壁となり、オランダバイヤーとの商談では成約に至らないケースもあった。バイヤーは事業者に対し、EU向け水産品輸出に必要なEU HACCP取得の関心の有無を確認し、また事業者はEU HACCP取得に係る手続きや取得後の取引の可能性についてバイヤーに質問するなど、認証取得に係る課題も明らかとなった。
鳥取県と島根県では、水産品や酒類商品など食品分野において共通する特色も多い。ジェトロでは、今後も山陰地域の事務所が一体となって地域の魅力を海外へ発信し、多様な商談機会を提供していく。
(角岸右京、薄木裕也)
(日本、オランダ、メキシコ)
ビジネス短信 2d92805da662b3f9




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