プラン・メキシコにおける観光政策発表、2030年までに世界5位の観光国へ
(メキシコ)
メキシコ発
2025年06月19日
メキシコのクラウディア・シェインバウム政権は6月13日、経済開発計画「プラン・メキシコ」の一環として、メキシコの外国人観光客数を2030年までに世界5位(注1)に押し上げる目標を発表した。ホセフィーナ・ロドリゲス・サモラ観光相は、「メキシコは今、流行の最先端だ」と題した会見で、目標達成のために2025年から2030年までの期間で国内22州における206億1,500万ドルの投資、毎年300万人の外国人観光客数の増加が必要になるとした。また、その他の具体的な数値目標として次の点を挙げた。
- 外国人観光客による経済効果46%増
- ホテル客室数12%増
- 観光分野の雇用27%増
- 観光分野のGDP9%増
- メキシコ人国内旅行者数9.8%増
- 持続可能性に関する認証を取得したサービス提供者数31.5%増
- 外国人観光客の平均支出額3.3%増
- 外国人観光客数30%増
- 非居住者税(DNR)の税収40.5%増
2026年に米国・カナダと共同開催するFIFAワールドカップの期間中には、550万人の観光客がメキシコに訪れ、10億ドル以上の経済効果が見込まれている。メキシコ政府はこの機会を捉え、開催地のメキシコ市、グアダラハラ、モンテレイの3都市だけではなく、国内全32州および177の「魔法の村(Pueblos Mágicos)(注2)」にワールドカップの経済効果を広げたい狙いがある。2026年6月5日から7月22日にかけて開催する食文化・観光の祭典「メキシコの味わい(México de mis sabores)」や、ワールドカップ観光客向けに移動手段、レストラン、アクティビティーなどの情報を提供するアプリを開発する計画も発表し、「プラン・メキシコ」の観光政策の中心にワールドカップを位置付けることを強調した。
(注1)国連世界観光機関(UNWTO)のデータによると、2024年の外国人観光客数ランキングは、1位フランス(1億200万人)、2位スペイン(9,380万人)、3位米国(7,240万人)、4位トルコ(6,060万人)、5位イタリア(5,770万人)、6位メキシコ(4,500万人)。日本は3,690万人で8位。
(注2)訪れる人を魅了する自治体に対して、メキシコ政府が与える称号。歴史、文化、自然などの観点で基準があり、2025年6月18日時点で国内177カ所が認定されている。
(深澤竜太)
(メキシコ)
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