最低賃金は2026年1月に平均7.2%引き上げの正式決定

(ベトナム)

ハノイ発

2025年11月18日

ベトナム政府は11月10日、最低賃金に関する政令293号(293/2025/ND-CP)を公布した。地域別(注1)に設定している最低賃金を改定し、2026年1月1日から月額で平均7.2%引き上げる。政労使で構成する国家賃金評議会が7月に政府に提案した内容に沿う決定となった(2025年7月24日記事参照)。

地域1(ハノイ市、ハイフォン市、ホーチミン市など、注2)は現行から、月額7.1%増の531万ドン(約3万1,329円、1ドン=約0.0059円)、地域2(バクニン省、ダナン市、ドンナイ省など)は7.3%増の473万ドン、地域3(フンイエン省、ゲアン省、カントー市など)は7.3%増の414万ドン、地域4(地域1~3以外)は7.2%増の370万ドンに改定する(添付資料表1参照)。

時間単位の最低賃金も改定した。地域1は7.1%増の2万5,500ドン、地域2は7.1%増の2万2,700ドン、地域3は7.5%増の2万ドン、地域4は7.2%増の1万7,800ドンだ(添付資料表2参照)。

7月の国家賃金評議会の提案に対して、繊維協会や中小企業協会など一部の業界団体は引き上げ率が高過ぎるという意見を示していた。これらの協会は、米国の相互関税や世界各地での紛争などによる燃料費や物流コストの高騰などを理由に挙げ、先行きが不透明な経済情勢の中、労働集約型の産業や中小企業にとっての7.2%の最低賃金引上げは企業の負担が大きいと述べていた。しかし、現在の経済状況に沿うものとする国家賃金評議会の提案・見解に基づき、当初の案どおりの政令公布となった。

なお、既に改定後の最低賃金以上の額を支給していれば、賃上げする義務はないという。

(注1)最低賃金の地域区分の詳細は、政令293号(293/2025/ND-CP)の付録に記載されている。

(注2)同じ省・市内でも地域区分が異なる場合があるため、詳細は所在地に応じて確認する必要がある。

(グエン・ラン)

(ベトナム)

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