最低賃金は2026年1月に平均7.2%引き上げへ、最終案決まる

(ベトナム)

ハノイ発

2025年07月24日

ベトナムの政労使で構成する国家賃金評議会は7月11日、2026年の地域別最低賃金を協議し、1月1日から月額で平均7.2%引き上げる案を決定した。この案は首相の承認後、正式に公布する見通しだ。最低賃金改定は2024年7月以来(2024年7月10日記事参照)、1年半ぶりとなる見込みだ。直近2回(2022年、2024年)の改定時期は7月だったが、2020年以来6年ぶりに、1月に改定する。

最低賃金額は地域別に設定される(注)。国家賃金評議会の提案によると、ハノイ市、ハイフォン市、ホーチミン市を含む地域1は、現行から7.1%増の531万ドン(約2万9,736円、1ドン=約0.0056円)、地域2(バクニン省、ダナン市、ドンナイ省など)は7.3%増の473万ドン、地域3(フンイエン省、ゲアン省など)は7.3%増の414万ドン、地域4(地域1~3以外)は7.2%増の370万ドンに改定する(添付資料表参照)。

労働者代表の労働総同盟(VGCL)が2025年3~4月に実施した調査によると、労働者の54.9%が現行の賃金・収入で「家庭内の基本的な支出を賄える」と回答したが、26.3%が「節約しなければならない」、7.9%が「生活費のために副業が必要」と回答した。

1回目の協議の場でVGCLは上記調査結果を基に、月額最低賃金の8.3~9.2%引き上げを提案した。一方、使用者代表のベトナム商工連盟(VCCI)は経営と雇用を両立するため、3~5%程度に引き上げ幅を抑えるよう訴えた。

国家賃金評議会は両者の要望を調和するかたちで、月額最低賃金を平均7.2%引き上げる案を決定した。上昇率が7%を超えるのは2017年の引き上げ以来で9年ぶりとなる見通しだ。現地報道によると、消費者物価指数(CPI)上昇率は、2025年と2026年のいずれも3.7%と予測されることから(7月18日「ニャンザン」紙)、今後の物価上昇も考慮したとみられる。

(注)7月1日の地方省・市再編後の最低賃金の地域区分の詳細は、政令128号(128/2025/ND-CP)付録1に記載されている。

(グエン・ラン)

(ベトナム)

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