香港金融管理局がトークン化資産の実取引に向け、試行環境を導入
(香港)
香港発
2025年11月25日
香港金融管理局(HKMA)は11月13日、2024年8月に始動した「プロジェクト・アンサンブル(Project Ensemble)」が従来の「サンドボックス(注1)」段階からパイロット段階の「アンサンブルTX(Ensemble TX)」に移行し、同日より正式に導入したと発表した。これにより、参加銀行(注2)および関連機関
は、提供された試行環境においてトークン化(注3)預金とデジタル資産の実取引が可能となった。
アンサンブルTXは、同月に発表されたデジタル金融推進戦略「フィンテック2030」(2025年11月14日記事参照)の主要な取り組みの1つで、トークン化預金を用いた実取引の迅速性、効率性、透明性の向上、およびリアルタイムでの流動性と資金需要管理を目的としている。初期段階において、参加銀行が発行するトークン化預金の銀行間決済は、香港ドル即時グロス決済(RTGS)システムを通じて行われるが、今後は試行環境の高度化の推進でトークン化中央銀行貨幣(CeBM)へ移行し、24時間体制の決済の実現を目指す。
HKMAの余偉文(エディー・ユー)総裁は、アンサンブルTXの正式導入について「(サンドボックスの)概念実証から実取引の段階へと、重要な一歩を踏み出した」と評価した上で、「地域および世界のデジタル金融の形成において、香港が先駆的な役割を果たしている証左だ」と強調した。
アンサンブルTXは2026年も継続して運用される方針。プロジェット・アンサンブルの詳細はHKMAのウェブサイト
、または各参加銀行の公式サイトで公表されている。
(注1)サンドボックスとは、コンピュータ内に設置された仮想環境を指す。革新的な技術の事業化に向けて、砂場のように自由に試行錯誤できるところから命名された。
(注2)中国銀行(香港)、中国建設銀行(アジア)、富邦銀行(香港)、富融銀行、スタンダード・チャータード銀行、東亜銀行、香港上海銀行。
(注3)トークン化とは、金融資産をブロックチェーン上においてデジタル形式で表章、または取引できるようにすること。
〔黄莃倫(ケリー・ウォン)〕
(香港)
ビジネス短信 f5a7139a38746834




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