2050年GHG排出ネットゼロに向け、「NDC3.0」を閣議承認
(タイ)
バンコク発
2025年11月17日
タイ政府は11月4日、アヌティン・チャーンウィラクン首相が所信表明演説で示した15項目の重要政策のうち、2050年までの温室効果ガス(GHG)排出ネットゼロを目指す「低炭素社会の推進」(2025年10月9日記事参照)に基づき、GHGの新たな排出削減目標である「国が決定する貢献(NDC)3.0」を閣議で承認
した。この目標の実施期間は2031年1月1日から2035年12月31日までで、2035年を単年目標としている。
NDC3.0では、経済活動の全ての部門でGHG排出削減を目指すとともに、「土地利用、土地利用変化および林業部門(Land Use, Land Use Change and Forestry:LULUCF)」でのGHG吸収目標も拡大する。具体的には、2035年に、2019年比で47%削減(正味排出量:152 MtCO2eq、注)を目標とする(添付資料表参照)。また、タイ政府は、グリーンエネルギーや二酸化炭素(CO2)回収・利用・貯留(CCS/CCUS)をGHG排出削減の手段として模索している。
さらに、パリ協定に基づき、32.8 MtCO2eの温室効果ガス削減のため、外国から約2,300億バーツ(約1兆810億円、1バーツ=約4.7円)の投資誘致計画も策定された。
スチャート・チョムクリン副首相兼天然資源・環境相は、「環境分野におけるタイの優位性を高め、国際貿易での競争力を向上させ、グリーン投資を呼び込み、低炭素開発へと移行することは、新たな雇用を創出する大きな経済的チャンスでもある」と述べた。
また、関係機関と連携して行動計画を早急に策定し、目標を具体的な実行に移すとともに、デジタル追跡システム導入して、透明性・迅速性・効率性のある実施を目指すとした。
なお、NDC3.0は国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)に同日提出
されており、2025年11月10日からブラジルで開催されている国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)において、タイは正式にこの目標を表明する予定だ。
(注)「MtCO2eq(Million metric tons of carbon dioxide equivalent)」は「100万トンの二酸化炭素(CO2)に換算した温室効果ガス(GHG)の量」を指す。
(野田芳美、ピンラウィー・シリサップ)
(タイ)
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