鉄鋼省、インド標準規格局(BIS)関連の規則などを緩和
(インド)
ニューデリー発
2025年11月27日
インド鉄鋼省は11月20日、鉄鋼関連の複数の品目に対して、インド標準規格局(BIS)による強制認証を定める品質管理令(QCO、注1)の一時的な停止や、認証の取得義務の一時的な免除などを発表した。
鉄鋼省が11月20日に発表した内容は、次のとおり。
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鉄鋼関連55品目に対するQCOの停止
。停止期間は、エンジニアリング製品、自動車部品、耐久消費財などに使用されるグレードの鋼材を含む42品目については3年間、高精度プロセスで使用される特殊鋼など13品目については1年間。 -
インド標準規格(IS)番号ならびにHSコードベースで指定された品目に対する認証取得義務の免除
。免除期間は、船積み日が2026年3月31日のものまで。 -
ステンレス鋼フラット製品の投入原料に対するBIS取得義務の免除
。免除期間は、船積み日が2026年3月31日のものまで。 -
これまでQCOでカバーされない鋼種であることを示すために取得が必要だったNOC(No Objection Certificate、異議なし証明書)の取得義務の撤廃
。 -
ISライセンスを持っていない製造業者からの輸入における例外的な手続きに関する指示
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10トン未満の小規模な鉄鋼品貨物の輸入手続きを簡素化することを目的とした、鉄鋼輸入監視システム(SIMS)ポータル(注2)の簡易版であるSARAL SIMSの運用開始
(SARALはヒンディー語で「簡単」の意味)。
インド政府は2025年11月に入ってから、複数の品目でQCOの取り消しや延期を相次いで発表しており(2025年11月21日記事参照)、今回の鉄鋼製品に関する措置も一連の流れの1つとみられる。これにより、鉄鋼製品をインドへ輸入する日系企業にとっては輸入手続きが簡素化されることが期待される一方で、中国製品の流入などによる市場の変化も懸念される。
現地の日系企業からは、「QCOの一時停止についてはあくまでも一時的なものなので、現在保有しているライセンスは費用をかけて更新を続けていく」「SARAL SIMSは小ロットの貨物のみを対象とするため、通常取引の簡素化にはつながらない」といった声があがっている。
(注1)品質管理令(QCO)は、当該品目を管轄するインド省庁から発行される通達で、その対象となった品目は、国産品・輸入品を問わず、インドへの輸入、販売に際して、インド標準規格局(BIS)が定めるインド標準規格(IS、通称BIS)の認証取得が義務化される。
(注2)SIMS(Steel Import Monitoring System、鉄鋼輸入監視システム)は2020年に導入され、鉄鋼製品の輸入業者に対して輸入する製品の原産国、数量、価格などの情報の登録を義務付けている。
(丸山春花)
(インド)
ビジネス短信 f112e41549321f55




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