スウェーデン政府、移民の帰還手当の大幅増額を決定

(スウェーデン)

ロンドン発

2025年11月12日

スウェーデン政府は11月3日、2026年1月から移民の「自発的」帰国に対する帰還手当を大幅に増額する法改正の決定を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同政府が2024年9月に、2025年度予算案で示した移民政策の抜本的な改革案の一環だ(2024年10月3日記事参照)。

帰還手当は「スウェーデン社会になじめなかった移民」を対象に支給する。引き上げ後の帰還手当の支給額は次のとおり。

  • 18歳以上:35万スウェーデン・クローナ(約560万円、SEK、1SEK=約16円)
  • 18歳未満:2万5,000SEK
  • 配偶者または同居人:最大50万SEK
  • 世帯当たり:最大60万SEK

同時に、帰還手当の不正利用防止に向けた規則も改正した。移民庁は、申請者が手当を受ける条件を満たしているかを判断するため、犯罪歴や容疑者登録簿の特定情報にアクセスできるようになる。

これら措置の背景には、近年の難民・移民の増大によって、スウェーデンの社会統合が問題化している点が挙げられる。このため、同国政府は、移民・統合政策の見直しと、国籍取得要件の厳格化を進めている。難民・移民の減少による統合政策を実現し、より多くの人々がスウェーデン社会に貢献できる基盤を築くことで、これまでの難民受け入れ国から、高度な技能を持つ外国人労働者の移民(労働移民)の受け入れ国への転換を図る。

例えば、政府は2024年10月、安全保障上のリスクをもたらす人物がスウェーデン国籍を取得することを防止するため、国籍取得に関する要件を厳格化する法改正を発表した。国籍取得には、長期のスウェーデン居住期間や、誠実な生活スタイル、自立した生計維持に関する要件も厳格化した。

(バリオ純枝、篠崎美佐)

(スウェーデン)

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