スウェーデン政府、移民の帰還手当を大幅に増額、1人当たり最大35万クローナに
(スウェーデン)
ロンドン発
2024年10月03日
スウェーデン政府は9月19日、2025年度予算案で移民政策の抜本的な改革を提案すると発表した。
今回の発表では、移民の自発的帰国を促すため帰還手当を1人当たり最大35万スウェーデン・クローナ(約490万円、SEK、1SEK=約14円)まで大幅に増額することが示された。2026年中に適用開始の予定。現在の帰還手当は成人1人当たり1万SEK(注1)だが、これまで帰還給付金の利用者は少なく、自発的な帰還促進は優先課題と位置づけられている。
また、不法滞在や詐欺への対策として、移民庁の生態認証データ処理能力の拡大、労働許可証に関する雇用主の管理を強化するとしている。その他にも、秩序ある受け入れと迅速な帰還プロセスを可能にする受け入れシステム全体の刷新や、一時的な滞在場所として計1,000カ所の留置施設を早期に設置することなどが今回の発表で示された。
本予算案では、移民に関する支出予算として2025年に5億1,300万SEKを計上することを提案し、2026年には25億5,900万SEKに増額すると見積もっている。
一方で、スウェーデン政府は、高度技能労働者に対しては積極的な受け入れ促進体制を維持している(2024年2月27日記事参照)。2024年9月25日には、高度技能労働移民を促進するためのEUブルーカード(注2)に関する法案を国会に提出したことを発表。EUブルーカードを取得するための給与基準の引き下げ、最低雇用期間の短縮(6カ月)、同カードを申請可能な職業の拡大など要件緩和が盛り込まれた。2025年1月1日の発効を提案している。
(注1)2024年時点の帰還給付金は成人1人当たり1万SEK、18歳未満の子供1人当たり5,000SEKで、1家族当たり最大4万SEKを受け取ることが可能。
(注2)スウェーデンで高度な資格を有する職に就くための雇用契約を結んでいる外国人に発行される居住許可と労働許可を組み合わせたもの。
(松丸晴香、篠崎美佐)
(スウェーデン)
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