インドネシア政府、大卒者向けインターンシップを開始

(インドネシア)

ジャカルタ発

2025年11月07日

インドネシア労働省は10月20日、労働大臣規則2025年第8号に基づき、大学卒業生を対象とした「全国インターンシッププログラム(Pemagangan Nasional)」を開始した。

本プログラムでは、最大10万人を対象に、6カ月間のインターンシップを実施する予定。参加者には、居住地に応じた県・市の最低賃金に相当する生活支援金が支給されるほか、社会保障(労災保険および死亡保険)が負担される。10月20に開始したプログラム第1期は2万人の定員でスタートし、第2期は定員8万人を目標に11月初旬に開始予定だ(11月1日付インドネシア経済調整府発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

10月31日には、インドネシア労働省は、日系企業向けに本インターンシッププログラムのオンライン説明会を実施した。労働省のアンワール・サヌシ人材計画・開発庁長官は、本インターンシッププログラムは参加企業にとって、有望な若手人材へのアクセス、採用前の実務評価、トレーニングコスト削減など、さまざまな面でメリットがあると説明し、日系企業に対する参加を呼びかけた(添付資料「インターンシップ概要説明資料(労働省)」参照)。

インターンシップの受け入れ対象は、在インドネシアの民間企業(注)、政府機関、または独立行政法人で、受け入れ計画の提出やメンターの配置などが要件として定められており、労働省の「マガンハブ(MagangHub)」プラットフォームに登録された企業・機関は1,942社に達している(10月31日時点)。インターンシッププログラムの終了後、企業がインターン実習生を有望と見なせば、その後に採用することも可能だ。

インドネシアでは、16%を超える若年層(15~24歳)の失業率の高さが課題となっている(インドネシア中央統計局「労働市場指標」2025年2月外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ヤシエルリ労働相は、雇用促進と失業率の低下を目指し、複数の職業訓練・インターンシッププログラムを通じてスキルアップと再訓練の機会を拡充する方針を強調した。インドネシア政府は本インターンシッププログラムを、雇用創出と家計支出の維持を目的とした最新の経済刺激策の一環として導入しており、予算規模は約16兆2,000億ルピア(約1,490億円、1ルピア=約0.0092円)と見積もられている(「ジャカルタ・ポスト」10月16日)。

(注)民間企業の場合は、労働省の企業雇用報告制度(WLKP:Wajib Lapor Ketenagakerjaan Perusahaan)への登録も要件となっている。

(高田尚)

(インドネシア)

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