EU、域外人材の獲得に向け、域外求職者用人材マッチング・プラットフォーム設置で合意
(EU)
ブリュッセル発
2025年11月20日
EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は11月18日、EU域内の雇用者と域外国の求職者をマッチングするためのEUレベルで初となるオンライン・プラットフォーム「EU人材プール」の設置法案に政治合意したと発表した(プレスリリース
)。設置法案は、域内産業強化策「クリーン産業ディール」の一環として発表された人材育成・誘致に関する基本計画「技能同盟」(2025年3月14日記事参照)にも盛り込まれている。域内の労働市場で人材不足が課題となっている分野において、域外から人材を呼び込むことで域内産業の競争力強化につなげたい考え。EU人材プールは今後、両機関による正式な採択を経て、設置される見通し。
今回の合意案は、おおむね欧州委員会の提案(2023年11月21日記事参照)に沿った内容となっている。欧州委は、EU人材プール事務局を設置し、オンライン上に人材マッチング用のプラットフォームを運営する。このプラットフォーム上に、域内での就職を希望する域外国の求職者は、技能、資格、職歴、言語能力などを記載したプロフィールを登録することができ、域内の雇用者も求人を募集することができる。人材マッチングをEUレベルで実施することで、域内の雇用者はより幅広い候補者の中からより容易に適格者を特定し、雇用することが可能となる。
EU人材プールへの参加は、移民政策に密接に関わることから、各加盟国が任意で判断することが強調されている。また、EU人材プールを通じたマッチングは、内定者の滞在許可や労働許可を保障するものでないとしており、内定者は各加盟国の移民手続きを別途受ける必要がある。ただし、早期の人材獲得に向け、加盟国の判断によりEU人材プールを通じた内定者を対象に移民手続きの迅速化を図ることは可能としている。
EU人材プールの対象となる職種についても、欧州委の提案どおり、EUレベルで選定された職種に限定され、自国の労働市場の状況に応じて、加盟国ごと、あるいは加盟国内の地域ごとでさらに制限をかけることができる。
(吉沼啓介)
(EU)
ビジネス短信 d40300bf719a50dd




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