ペルー政府がメキシコとの国交断絶を発表、メキシコ政府は対話呼びかけ
(ペルー、メキシコ)
調査部米州課
2025年11月06日
ペルー外務省は11月3日、メキシコ政府がベッツィー・チャベス元首相の亡命を認めたことなどを理由に、メキシコとの国交断絶を発表した。チャベス氏は、ペドロ・カスティージョ政権下における「国家反逆罪」などの訴状(2022年12月16日記事参照)に基づき、ペルー検察より25年の禁錮刑を求刑されている。ペルー最高裁の特別刑事法廷によって、11月4日の審理への出廷が求められていたところ、チャベス氏は在リマ・メキシコ大使館に逃げ込み、亡命申請を行ったとみられる。
ペルーのウゴ・デ・セラ外相は記者会見で、今回の亡命認定を「非友好的行為」だと非難した上で、メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)前大統領による度重なる内政干渉(注)も考慮し、国交断絶に至ったと説明した。なお、両国間の領事関係は維持されるとしている。
メキシコ政府は11月3日に声明を発表し、国交断絶は過剰な措置であり、これを拒否すると非難。「常に対話と友好的な問題解決を優先する」として、ペルー政府に対話を呼びかけた。亡命認定の正当性について、チャベス氏がペルー政府の政治的迫害による人権侵害を訴えていることにも言及し、外交的庇護(ひご)に関する協定(カラカス条約)に準拠し、メキシコ国内法に基づいて決定されたと主張した。11月4日の記者会見では、ロベルト・ベラスコ外務省北米担当次官が「メキシコ政府は政治的亡命という人道主義の伝統を堅持し、国際法にのっとって行動する」と述べた。また、パブロ・モンロイ外務省南米担当次官は「メキシコはペルーの内政に干渉しておらず、これまでもしたことはない」と強調した。
メキシコ政府は、チャベス氏の出国を許可する「通行許可証」の発行を要請しているが、現地紙では、ペルー政府が発行を拒否する可能性も報道されている(「エル・コメルシオ」紙11月5日付)。
(注)AMLO前大統領は、カスティージョ元大統領の罷免および勾留について、ペルー政府を批判する発言を繰り返しており、ペルー政府は内政干渉であると反発していた。
(加藤遥平)
(ペルー、メキシコ)
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