デリー首都圏の大気汚染対策、適用措置「ステージ2」に引き上げ
(インド)
ニューデリー発
2025年11月10日
インドのデリー首都圏と周辺地域の大気汚染対策を所管する大気質管理局(CAQM)は10月19日、デリーの空気質指数(AQI)が悪化したことを受け、首都圏の大気汚染対策として、「行動計画(GRAP、2024年12月改定)
」のステージ2(AQI301~400)の各種措置を即時適用する通達
を発出した。なお、ステージ1(AQI201~300)は10月14日から適用されていた。ステージ2の対策の主な措置は次のとおり。
- 建設現場などでの防じん対策への検査強化
- ディーゼル発電機使用規制の厳格な適用(第76号指令、2023年10月6日記事参照)
- 私有車利用の抑制を目的とした駐車料金の値上げ
- 圧縮天然ガス(CNG)・電動バスやメトロ(地下鉄)の増便、運行頻度の向上
- 粉じんの多い道路に対して散水の実施(混雑時を除く)
- 電気自動車(EV)/CNG/BS-VIディーゼル(注1)の車両を除き、州間バスのデリー準州への乗り入れ禁止
GRAPはデリー首都圏の大気汚染対策の一環として、CAQMが2022年10月に導入した段階的な各種措置だ。デリーのAQI水準に応じ、首都圏での行動規制をステージ1、ステージ2、ステージ3(同401~450)、ステージ4(同450超)の4段階で課す内容で、GRAP適用の有無やステージはCAQMが随時決定する。首都圏の大気汚染は例年、秋冬の時期に悪化するが、前回のGRAP適用期間はそれまでより長く、2024年10月14日~2025年6月15日の約8カ月間にわたった。
なお、大気汚染のさらなる悪化によって今後、ステージ3
が適用となった場合、公共施設や医療施設以外の建設工事は原則として操業停止となるほか、デリー準州内や北部ハリヤナ州グルグラム(旧グルガオン)、北部ウッタル・プラデシュ州ファリダバードなど各地域で対象車両(注2)の走行規制が課されることになる。さらに、ステージ4
に移行した場合、公共施設を含めた建設工事が全面的に操業停止となることに加え、デリー準州内でディーゼルエンジンの中型・大型貨物車の走行が生活必需品を運搬する場合などを除き、原則禁止となる。
(注1)インド国内の自動車排出ガス規制BS(バーラト・ステージ)は、EUによる同種規制を基にしており、BS-IIIは2005年以降、BS-IVは2010年以降に順次導入した。現行の最新基準のBS-VIは2018年以降に導入。
(注2)走行規制対象となる車両は、古い排ガス規制基準を基にしたガソリン(BS-III)、ディーゼル(BS-IV)の乗用車。
(佐藤利昭、サンディープ・シン)
(インド)
ビジネス短信 c72f901844a59a83




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