エチオピアでアパレル展示会開催、AGOA失効で縫製産業再活性化の動き
(アフリカ、エチオピア、米国、中国、トルコ、ドイツ、ケニア、セネガル)
アディスアベバ発
2025年11月07日
エチオピア・アディスアベバ国際会議場で10月30日~11月2日の4日間、テキスタイル・アパレル展示会「アフリカ・ソーシング・アンド・ファッション・ウィーク(ASFW)」が開催された。メッセ・フランクフルトが主催し、アディスアベバ開催は11回目となった。
展示会はテキスタイル加工、アパレル・ソーシング、テキスタイル・皮革製品の3つのゾーンで構成され、エチオピアの地場企業をはじめ、中国、トルコ、ドイツなど10カ国から約120社が出展した。中国企業がミシンなどを展示したほか、エチオピアに縫製工場を構えるトルコ企業などの参加も目立った。ドイツ経済・エネルギー省がパビリオンを構えたほか、ドイツ国際協力公社(GIZ)と英国の外務・英連邦・開発省や、韓国国際協力団(KOICA)などが支援するエチオピアの零細アパレル・皮革製造企業が数多く出展した。
ジェトロが毎年実施している投資関連コスト調査2024年版によると、アディスアベバの製造業一般工職のワーカーの月額賃金は16ドルと、世界的に見ても極めて低水準にある。この優位性に加えて、米国のアフリカ成長機会法(AGOA)による米国市場への特恵関税制度が、エチオピアの縫製産業を急速に成長させた(添付資料図1参照)。しかし、2020年11月に北部ティグライ州で紛争が始まり、2022年1月には北部紛争での人権侵害を理由に米政府からAGOAの資格停止の措置を受け、以降、米国向け輸出は急減し、米国向けのアパレルを製造していた多くの工場が閉鎖に追い込まれた。
ジェトロが会場でエチオピア地場の皮革製品メーカーにヒアリングを行ったところ、米国の相互関税発表とAGOA失効の動きを受け、この数カ月間でエチオピア国内の縫製産業にも大きな動きが出てきているという。同社によると、例えば一般税率が15%の皮革製品を米国に輸出する場合、10%の相互関税を加えて25%となる。AGOAへの資格停止以降、エチオピアは不利な競争条件を強いられていたがAGOA失効により解消され、より高い相互関税を課された国々よりむしろ有利な競争条件となった(2025年10月24日記事参照)。再びエチオピアへの縫製工場を検討する動きも出てきているという。
また、エチオピアからEU向けのアパレル製品の輸出額は2021年以降、再び回復基調にある(添付資料図2参照)。GIZの担当者によると、今回のASFWにあわせてドイツからバイヤー20社程度がエチオピアを訪問し、縫製産業が多く集積するハワッサの工業団地なども訪問したという。
ヒアリングをしたエチオピアメーカーは、高級品の市場として日本に関心があると述べた。欧米市場では既に一定のプレゼンスがあり、市場多角化が必須となっているが、中国市場はまだ十分に成熟していないと感じたという。
ASFWは、ケニアのナイロビでも過去4回開催されており、5回目が2026年4月30日~5月2日に予定されている。加えて、2026年3月26~28日にはセネガルのダカールでも初開催が予定されている。
展示の様子(左)、会場の様子(右)(ともにジェトロ撮影)
(佐藤丈治)
(アフリカ、エチオピア、米国、中国、トルコ、ドイツ、ケニア、セネガル)
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