10月の貿易赤字は416億9,000万ドルに拡大、金・銀の輸入が急増

(インド)

ムンバイ発

2025年11月20日

インド商工省(MoCI)が11月17日に発表した「貿易統計(速報値)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2025年10月の貿易収支(サービスを除く)は約416億9,000万ドルの赤字だった(添付資料図参照)。宝石類や石油製品などの輸出減少に加え、金や銀、電子機器などの輸入増加が重なり、赤字幅は9月の321億4,000万ドルから拡大した。10月の輸出額は343億7,516万ドルで前年同月比11.8%減少、輸入額は760億6,156万ドルで16.6%増加した。また、追加関税発動後の影響が注目されていた米国への輸出額は63億733万ドルで、前年同月比8.6%減と2カ月連続の減少になった(2025年8月8日記事参照)。

輸出額の内訳をみると、電子製品40億8,328万ドル(前年同月比19.1%増)などが増加したものの、金額の大きいエンジニアリング製品が93億7,267万ドル(16.7%減)、石油製品39億4,949万ドル(10.5%減)、医薬品24億8,890万ドル(5.2%減)、宝石類22億8,991万ドル(29.5%減)、有機・無機化学製品21億4,126万ドル(21.0%減)など、主要品目の多くが減少した。

輸入に関しては、金が147億2,439万ドル(約3.0倍)、電子製品95億7,331万ドル(14.7%増)、電気・一般機械51億8,877万ドル(12.2%増)、輸送機器29億419万ドル(5.7%増)、銀が27億1,959万ドル(約6.2倍)、非鉄金属26億337万ドル(13.9%増)など、多くの主要品目が増加した。一方で、石油製品・原油147億9,480万ドル(21.7%減)などは減少した。

10月の貿易赤字拡大について、現地報道では金や銀の輸入増が主因として取り上げられている。地場格付け会社ICRAのチーフエコノミスト、アディティ・ナヤル氏は、祭礼シーズン前の金価格上昇が投機的な需要を誘発した可能性を指摘し、「金の輸入は今後数カ月で落ち着く可能性がある」と述べており、季節的要因が一定程度影響したとの見方を示している(「ザ・ヒンドゥー」紙11月17日)。

(篠田正大)

(インド)

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