トヨタ、米5拠点でハイブリッド車生産強化に向け9.1億ドルを投資

(米国、日本)

ニューヨーク発

2025年11月19日

トヨタは11月12日、米国におけるハイブリッド車(HEV)生産体制の強化を目的として、米国内5拠点に総額9億1,200万ドルを投資すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の取り組みは、同社が米国で掲げる最大100億ドル規模の投資計画の一環として位置づけられ(2025年11月18日記事参照)、5拠点で252人の新規雇用を創出するという。

トヨタの発表によると、投資および新規雇用の内訳は次のとおり。

  • ウェストバージニア州(バッファロー工場):投資額4億5,300万ドル、雇用80人。HEV対応4気筒エンジン、第6世代ハイブリッドトランスアクスル、リアモーターステータ組み立ての拡張。2027年に生産開始予定。
  • ケンタッキー州(ジョージタウン・パワートレーン施設):投資額2億44万ドル、雇用82人。新たな加工ラインを導入し、HEV対応4気筒エンジンを2027年に生産開始予定。
  • ミシシッピ州(ブルー・スプリングス工場):投資額1億2,500万ドル。米国初のハイブリッド仕様のカローラを生産ラインに追加。
  • テネシー州(ジャクソン鋳造工場):投資額7,140万ドル、雇用33人。トランスアクスルケース、ハウジングおよびエンジンブロックの生産能力を増強し、3本の新しい生産ラインを2027~2028年に稼働予定。
  • ミズーリ州(トロイ鋳造工場):投資額5,710万ドル、雇用57人。HEV用シリンダーヘッド生産ラインを新設し、2027年稼働予定。

今回の発表に際し、投資額で最大のウェストバージニア州のパトリック・モリッシー知事(共和党)は、「世界クラスの技術を開発し、米国の製造業の未来を牽引するトヨタが、この山岳州で成長を続けていく姿を誇りに思う。従業員、地域社会、そして共通の未来を信じてくれるトヨタに感謝する」とコメントした。また、トヨタの世界最大規模の拠点が所在するケンタッキー州のアンディ・ベシア知事(民主党)は、「同社の全米展開は、数百人もの高賃金の雇用を創出し、米国の製造業基盤を強化し、地域社会の経済成長を促進するだろう」と述べるなど、知事や各州選出の連邦議員らから謝辞が寄せられた。

トヨタによると、米国販売車両の約半数は米国内で組み立てられている。今回の投資を含む100億ドルの計画が実施されると、米国での生産開始から約70年間の累計投資額は約600億ドルに達する見込みだ。

同社は動力別に全方位で開発を進めているが、電動車の中ではハイブリッド車(HEV)の需要が高く、同社の生産・販売戦略の重要軸の1つだ。自動車データのモーターインテリジェンスによれば、2025年1~10月の米国における全米のHEVの累計販売台数は、前年同期比32.7%増の約169万7,000台で、そのうちトヨタが54.5%にあたる92万5,000台を占めた。同社の全販売台数に占める構成比も、前年同期から6.4ポイント上昇し44.6%に達した。

(大原典子)

(米国、日本)

ビジネス短信 aecad24920ad3342