ベトナムの砂電池開発スタートアップが日本進出

(ベトナム、日本)

ホーチミン発

2025年11月27日

砂の蓄熱力を利用して熱エネルギーを貯蔵、分配する「サンドバッテリー(砂電池)」を開発・提供するベトナム発のスタートアップ企業アルテルノ(Alterno)(注、2024年1月18日付地域・分析レポート参照)は10月31日、茨城県つくば市に製品の現地化、研究開発、パイロット生産拠点となる日本法人を設立した。

同社のリリースによると、砂電池は、再生可能電力を最大600度の高温熱として貯蔵でき、化石燃料由来の熱を再生可能熱へ転換することが可能となる。また、同社を支援するリバネス(本社:東京都新宿区)のリリースによると、石炭や軽油などの化石燃料を使わず、二酸化炭素(CO2)排出を削減しつつ最大50%のエネルギーコスト削減を実現するという。

日本法人では、茨城県の菊池精機や山崎工業と共同開発をおこない、両社との連携により、製造コスト削減、JIS規格との整合化を推進。日本市場向けには、農業分野(温室や食品乾燥用の低炭素熱源)や、繊維・素材乾燥プロセスを含む軽工業分野へのソリューション提供に注力する。

同社は、日本市場向けに「Alterno Hybrid」(電気とバイオマス加熱を組み合わせたモジュラー式熱電池)、「Alterno Mini」(小規模施設、研究機関、実証プロジェクト向けに設計されたコンパクトな熱電池)の2つの製品ラインを導入。また、データセンターや重要インフラ向けの次世代の砂ベース電力貯蔵システムである「Alterno E」を開発中としている。

アルテルノは、2023年創業のベトナム発のクリーンエネルギースタートアップ企業だ。2024年にリバネス傘下の144ベンチャーズ(シンガポール)から出資を受けているほか、2025年5月には、日系ベンチャーキャピタル(VC)のUntroD Capital Asia(シンガポール)およびADBベンチャーズ(フィリピン)より資金調達を実現している。

(注)本スタートアップへの取り次ぎを希望する場合は、ジェトロ・ホーチミン事務所(VHO@jetro.go.jp)まで連絡を。ジェトロは、日本企業と海外スタートアップなどとのオープンイノベーション・協業・連携を促進するプロジェクト「J-Bridge」を実施している。その他のベトナムスタートアップの情報については、J-Bridge会員サイトから確認可能。

(三木貴博)

(ベトナム、日本)

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