米テキサス州の共和党上院議員候補選出は三つどもえの激戦、アボット知事は4選目立候補を表明

(米国)

ヒューストン発

2025年11月25日

2026年11月の米国中間選挙に向けて、テキサス州からの連邦上院議席を狙う共和党候補に関する世論調査結果が11月17日に発表された。共和党は2026年3月3日に予備選(GOP Primary)を実施する予定で、そこで選出された人物が共和党の最終候補となる。世論調査の対象となったのは、共和党から立候補を表明している現職上院議員ジョン・コーニン氏(John Cornyn、73歳)と州司法長官ケン・パクストン氏(Ken Paxton、62歳)、下院議員ウェズリー・ハント氏(Wesley Hunt、44歳)の3人。ハント・リサーチ(10月6日~10日実施)の調査では、パクストン候補28%、コーニン候補24%、ハント候補19%だった。ハント候補支援団体の内部調査(10月28日~30日実施)では、コーニン候補26%、パクストン候補25%、ハント候補24%と接戦となっている。ハント候補は10月6日に上院選への立候補を表明したが、それ以前にヒューストン大学とテキサスサザン大学が共同で行った調査(9月19日~10月1日実施)では、パクストン候補34%、コーニン候補33%、ハント候補22%だった。ハント候補が立候補表明後、急速に支持率を上げつつも三つどもえの激戦となっている。ほかに約10人の候補もいることから、3月の予備選で過半数を獲得する候補がいないこともあり得る。その場合、5月の決選投票(runoff)で決定となる可能性も指摘されている。

一方、米テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党、68歳)は11月9日、ヒューストンのゴルフ場「East River 9」で、4期目の州知事選への立候補を表明した。演説では「テキサスを常識の砦(とりで)として守る」と述べ、民主党の進歩的政策に対抗する姿勢を示した。再選すれば同州史上最長の任期を務める知事となる。

アボット知事は、財産税改革を中心とした5つの政策提案を発表。学校財産税の廃止を住民投票にかけることや、固定資産税の評価額の上昇制限を現行10%から3%へ引き下げることなどを掲げた。

同知事は実績として、教育分野では私立学校バウチャー制度の導入や、多様性と包括性(D&I)プログラムの廃止、トランスジェンダー選手の女子スポーツ参加禁止などを成果として挙げた。その他、保釈制度の厳格化、国境警備の強化、医療・住宅分野での規制緩和と投資促進も実績として強調した(2025年11月7日付地域・分析レポート参照)。

民主党からも複数の候補が名乗りを上げており、今後の選挙戦の行方が注目される。アボット知事は、民主党支持が集まるヒューストン市を含むハリス郡における票の獲得にも意欲を示しており、州内の政治勢力図に影響を与える可能性がある。選挙資金は約9,000万ドルに達しており、ペンシルベニア州の大口献金者からの1,000万ドルの寄付は州史上最大規模とされる。

(キリアン知佳)

(米国)

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