トランプ米大統領、政府主導のAIプラットフォーム構築計画「ジェネシス・ミッション」を発表
(米国)
ニューヨーク発
2025年11月26日
米国のドナルド・トランプ大統領は11月24日、米国政府主導の人工知能(AI)プラットフォームの構築と、同プラットフォームを通じた先端技術の研究開発の能力強化に向けた、「ジェネシス・ミッションの開始」と題した大統領令を発令
した。
大統領令では、科学的発見や技術革新が米国の進歩と繁栄を牽引してきたと振り返りつつ、現在のフロンティア領域であるAI分野で米国が技術覇権を巡る競争に直面している、と現状を評価した。この状況において、第2次世界大戦下の原子爆弾開発計画の「マンハッタン計画」に比肩する国家事業が必要だとして、「ジェネシス・ミッション」を開始すると説明した。
大統領令およびホワイトハウスが同日に公表したファクトシート
によれば、今後、エネルギー省が本ミッションのインフラとして、優れた計算能力とデータセットを有したAIプラットフォーム「米国科学安全保障プラットフォーム(American Science and Security Platform)」を構築する。また、同省がミッションを通じて取り組むべき20件の科学技術的課題をリストアップする。米国の国家・経済・健康安全保障に資する分野における課題をリストアップの対象とし、具体的には、アドバンスド・マニュファクチャリング、バイオテクノロジー、重要材料、核分裂・核融合エネルギー、量子情報科学、半導体・マイクロエレクトロニクスの6分野が含まれる。これら先端技術について、新たに構築したAIプラットフォームを活用し、研究開発の生産性向上を図る。
マイケル・クラツィオス大統領補佐官(科学技術担当)兼ホワイトハウス科学技術政策局長は同日の声明
で、同ミッションについて、「(米国の)世界最高水準の科学データを米国の最先端AI技術と組み合わせ、医学、エネルギー、材料科学などの分野で画期的な成果を生み出す鍵を開くものだ」とその目的を説明した。
トランプ政権は2025年7月に、AI技術の競争力強化に向けた「AI行動計画」を発表している(2025年7月25日記事参照)。同行動計画を含む、トランプ政権のAI政策の概要は2025年10月15日付調査レポート「トランプ政権のAI政策と日本・日系企業への影響」参照。
(葛西泰介)
(米国)
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