アフリカ開発銀行、COP30でアフリカ諸国のNDC達成に関する資金不足を表明

(アフリカ、ブラジル、欧州)

調査部中東アフリカ課

2025年11月26日

アフリカ開発銀行(AfDB)は、ブラジルで開催された国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)において、アフリカ諸国でのパリ協定に基づく2035年の温室効果ガス(GHG)排出削減目標(国が決定する貢献:NDC)の達成に向けての協力と持続的な調整を求めた(11月24日付AfDB発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

アフリカ開発銀行の気候変動・グリーン成長担当マネージャー、アル・ハムンドゥ・ドルソウマ氏は、COP30における「第5回NDC実施に関するパートナー・ラウンドテーブル」においてアフリカ諸国は野心的な目標を示しているが、実施の資金が不足していると主張した。

アフリカでは財政面や制度面での課題はあるが、COP30に先立ち、47カ国がNDCを更新して提出し、うち23カ国は野心的な目標を提出したという。

アフリカ開発銀行グループは、2024年に55億ドルの気候変動対策資金を動員した。そのうち約83%は自己資金で、同グループが強いコミットメントを示したと説明している。また、「気候変動対策ウィンドウ」などの革新的な支援により、4億5,100万ドルの資金を調達し、31カ国39件のプロジェクトに13億9,000万ドルの協調融資を実施したという。加えて、グローバル適応センター(Global Centre on Adaptation)と共同で実施する「アフリカ適応加速プログラム(AAAP)」は、2025年末までの調達目標である250億ドルのうち190億ドルに達した。一方、アフリカ開発銀行のドルソウマ氏は、民間資金が十分に活用されていないと主張している。

なお、COP30にあわせて、ドイツ政府やイタリア政府などが、アフリカ開発銀行グループが主導する多国籍特別基金であるアフリカ持続可能エネルギー基金(SEFA)に対して、総額約5,000万ユーロの支援を表明したという(11月19日付AfDB発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。特にドイツ政府は、SEFAの新たなグリーン水素プログラムに3,000万ユーロを拠出すると表明した。

国際エネルギー機関(IEA)によると、アフリカでは、再生可能エネルギーおよび石油・天然ガスの両方の分野で、今後投資が増加する見込みだという(2025年11月18日記事参照)。

(井澤壌士)

(アフリカ、ブラジル、欧州)

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