アフリカでの再生可能エネルギーと石油・天然ガスの投資増加、IEA報告

(アフリカ)

調査部中東アフリカ課

2025年11月18日

国際エネルギー機関(IEA)は11月12日、世界のエネルギー状況に関する報告書「World Energy Outlook 2025」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同報告書によると、アフリカではこの10年で輸出用の石油・天然ガスへの投資は減少してきたが、2021年以降、電力などエネルギーインフラの投資は増加傾向にある。2035年までに過去10年間の2倍のペースとなる毎年約24ギガワット(GW)の新規発電容量が追加される見込みだ。新規追加容量の70%以上が再生可能エネルギーとなる。このうち半分を太陽光発電が占め、2035年までに水力発電を抜いて、天然ガスに次ぐ第2位の電源となるとした。太陽光発電は多くのアフリカ諸国で新規追加電源としては最も安価となる。なお、中国からの太陽光パネル輸入が急増しているという。

一方、石油・天然ガスへの投資も今後、増加する見通しだ。アフリカ全体の石油生産量は2035年までおおむね安定し、世界の生産量の7~8%を占めるという。リビア、アルジェリア、ナイジェリアなどOPECプラス諸国の生産量は横ばいとなるが、ウガンダ、セネガルなどが新規輸出国として生産を開始し、ナミビアも生産増となる見込みだ。天然ガスは、アルジェリアとエジプトの生産量は横ばいだが、モザンビークでは液化天然ガス(LNG)プロジェクトでの生産開始により、生産量がおよそ倍増となり、アフリカ全体では2035年までに世界生産量の5%超を占めるという。

また、アフリカで送電網も拡大しており、2035年までに毎年平均19万キロメートル拡張される見込みで、同年までに現在の40%増となる見込みだ。

同報告書では、アフリカには電池などに利用される鉱物資源が豊富な一方、これまで大部分は未加工の鉱石などとして輸出されてきたが、域内での製錬や精製なども徐々に増えていると指摘した。世界の埋蔵量の割合でみると、アフリカではプラチナ族の金属(主に南アフリカ共和国)、リン酸塩(モロッコなど)は約80%、コバルト(主にコンゴ民主共和国)、クロム(南アなど)は55%以上だ。さらに、マンガン、ボーキサイト、グラファイト(黒鉛)は25%、ウランは20%、銅は10%の埋蔵量があるとの推定だ。アフリカでは、これらの鉱物の総市場価値は現在の約700億ドルから2040年には1,200億ドルへと増加する見込みだという。

なお、IEAの天然ガスに関する報告書によると、2030年まで世界の天然ガス需要は増加傾向にあり、中東アフリカ地域では天然ガスの液化能力も増加するとの予測だ(2025年11月17日記事参照)。

(井澤壌士)

(アフリカ)

ビジネス短信 2d2828b6db255544