オランダ下院総選挙で中道リベラルの民主66が僅差で勝利、政権連立の主導権獲得

(オランダ)

アムステルダム発

2025年11月12日

オランダでは、2025年6月3日にスホーフ連立政権の第1党だった自由党(PVV)が政権から離脱し、内閣が総辞職したのを受けて、10月29日に下院(定数150)の総選挙が実施された。11月7日には選挙管理委員会が公式な選挙結果を発表した(添付資料図参照、2025年6月12日記事参照)。

その結果、38歳のロブ・イエッテン党首が率いる中道リベラルの民主66(D66)が26議席を得て第1党になった。PVVも同数の26議席を獲得した。選挙はどちらが主導権を握るかの得票差争いとなり、オランダ政治史で最も緊迫した選挙の1つとなったといえる。最終的に、D66が2万9,668票の僅差でPVVに勝利する結果となった。

15の政党が議席を獲得し、小政党が乱立した今回の下院選挙だが、グリーンレフト(GL)/労働党(PvdA)、社会党(SP)、ボルト党(Volt)などの左派政党が議席を減らす一方、中道から右派のキリスト教民主同盟(CDA)、JA21、民主主義フォーラム(FVD)が票を伸ばした。

議席数をほぼ3倍に増やして大躍進したD66だが、第1党の獲得議席が30を割るケースは過去20年の下院選挙ではない。D66が過半数を獲得するためには少なくとも4党以上で連立を組むことを余儀なくされ、安定した連立政権を樹立できるかが今後注目される。

そのカギを握るのが、22議席を獲得した中道右派の自由民主国民党(VVD)だ。ディラン・イエスルギュズ党首の下で前回2023年と今回の下院選挙で2度、議席を減らしているが、選挙前から左派GL/PvdAとは連立を組まないと公言しており、連立交渉は難航する恐れがある。

(新岡由紀)

(オランダ)

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