G20首脳会議、閉幕

(南アフリカ共和国、米国)

ヨハネスブルク発

2025年11月26日

南アフリカ共和国が議長国を務めるG20首脳会議が11月22~23日、ヨハネスブルクで開催され、日本からは高市早苗首相が出席した。同会議は初日に首脳宣言が採択されるという異例の展開で始まり、次期議長国である米国への引き継ぎが行われないまま終了した。

シリル・ラマポーザ南ア大統領は開会にあたり、故ネルソン・マンデラ大統領の言葉を引用し、「南アが国際社会において正当かつ責任ある立場を担う時が来た」と、今会議に臨む決意を述べ、「国際社会の一員として私たちに課せられる重大な責任を深く認識している」とした。リーマン・ショックを契機に発生した経済・金融危機に対処するため、2008年11月に米国の首都ワシントンで初めてのG20首脳会合(サミット)が開催されて以降、G20は広範なマクロ経済問題のみならず、現在は貿易、持続可能な開発、健康、教育、科学技術、農業、エネルギー、環境、気候変動などの諸問題を議題としてきた。国際経済や金融システム上で重要な国々が主要な国際経済問題について議論し、世界経済の安定的かつ持続可能な成長の達成に向けて協力することが重要、との認識が根底にある。

ラマポーザ大統領はこうした認識を念頭に、G20は多国間主義の価値と重要性を強調しつつ、「私たち全員が直面している課題は、協力、連携、パートナーシップを通じてのみ解決できると認識している」と述べ、「首脳会談での宣言採択は、多国間主義が成果をもたらすことができ、実際に成果をもたらしているという重要なメッセージを世界に送るもの」として、首脳宣言を採択したことを正当化した。

これに対し、米国ホワイトハウスは南アが議長国という立場を「武器」として使い、G20創設時の原則である「全会一致のコンセンサス」を損なったと強く批判し、2026年はドナルド・トランプ米大統領が議長としてG20の「正統性」を取り戻すだろう、と主張した。

米国の南アへの圧力が強まる中で(2025年11月14日記事参照)、議長国の南アが首脳宣言をまとめることは難しいとみられていた。一方、同宣言発出にこぎ着けたことで、民間報道でも「少なくとも当面はG20の今後の在り方を巡る疑念を押さえ込み、このところ連敗続きの多国間主義に勝利をもたらした」(11月24日付ロイター)との論調もみられる。

(的場真太郎)

(南アフリカ共和国、米国)

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