民間企業500社の活動評価レポート公表、金融・不動産分野の企業が増加

(ベトナム)

ハノイ発

2025年11月17日

ベトナム財政省傘下の経済金融戦略政策院とドイツのシンクタンクのコンラート・アデナウアー財団は11月6日、ハノイ市で「ベトナムの大手民間企業500社(VPE500;Vietnamese Private Enterprises 500)の評価に関するワークショップ」を開催した。VPE500レポートは、経済や産業の分析を行うことを目的に、雇用規模や収益、資本を基に民間企業の中から上位企業を抽出し、まとめたものだ(添付資料表1参照)。

レポートの概要は次のとおり。

  • 新型コロナウイルス禍前(2019年)と比較し、VPE500にランクインした製造業の企業数は236社から207社に減少した。他方、金融・銀行・保険分野は37社から52社、貿易分野は72社から90社、不動産分野は22社から40社に増加した(添付資料表2参照)。
  • 500社の所在地はハノイ市が139社、ホーチミン市が169社で、全体の6割超が2都市に集中する。
  • VPE500の上位17社のうち12社を銀行が占める(添付資料表1参照)。
  • 外資系企業や国有企業を含むベトナム国内の企業全体の収益に占めるVPE500の企業の割合は11.83%で、比率は過去5年ほぼ横ばい。

ベトナムは、2030年までに民間企業を200万社(2023年末時点で94万社)まで拡大し、グローバルサプライチェーンに参画するコングロマリットを育成する方針を掲げている(2025年9月8日付地域・分析レポート参照)。しかし、現状は金融や不動産、サービス分野の成長が目立ち、資金が金融・不動産に過度に流れるリスクや、製造業・イノベーション分野の競争力の向上に課題があると見受けられる。

ワークショップで登壇したアジア開発銀行(ADB)の専門家は「ベトナムの民間企業は成長している一方、法令順守にかかるコストの高さや、透明性の欠如、政策の予測可能性の低さ、コーポレートガバナンスの改善能力など、事業環境には多くの課題がある」と指摘した。

経済金融戦略政策院のトラン・トアン・タン氏は「グローバル展開可能な大手民間企業を重点的に支援すべきだ。また、個別企業ではなく、サプライチェーンや業種単位での支援が経済全体の持続的成長の基盤になる」と述べた(トイバオ・タイチン11月6日)。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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