ホーチミン市が外国企業とのビジネス会合を開催、省市再編後の開発計画を発表

(ベトナム)

ホーチミン発

2025年11月25日

ホーチミン市人民委員会は10月30日、「ホーチミン市幹部と外国企業とのビジネス会合」を開催した。ホーチミン市のグエン・バン・ドゥオック人民委員長など関係当局の幹部と、ベトナム米国商工会議所(AmCham)、ベトナム欧州商工会議所(EuroCham)など各国の外国企業団体、ジェトロ・ホーチミン事務所など計9団体が具体的な提言および情報交換を行い、外国企業の代表など計400人以上が参加した。

本会合では、「ホーチミン大都市圏の新たな機会を伴う持続可能な開発」をテーマに、ホーチミン市から同市の社会経済開発計画、投資環境、都市鉄道を含む都市交通システムの計画などの講演が行われた。

ホーチミン市は今年7月1日の省市再編後(注1)、原油などの天然資源や港湾、観光地をもつバリア・ブンタウ省、工業団地が集積するビンズオン省と合併し、地域総生産(GRDP)が国内総生産(GDP)の約24%を占め、省市では最大となった。同市は、ASEAN地域と世界の資本を集中させる国際金融センターを建設する計画などを中心に20のプロジェクトへの投資を呼びかけ、誘致していると述べた。主なプロジェクトは次のとおり。

  • 国際金融センター:投資対象としては、銀行・投資ファンドなど金融機関、大規模データデンター、国際会議展示場、ホテル、富裕層向け事業サービスなど。
  • ハイテク・イノベーション分野:半導体製造、人工知能(AI)の研究開発、バイオテクノロジーの研究・研修センター、情報技術に特化したイノベーションハブの構築。
  • 港湾・物流インフラ:カンゾー国際積み替え港(571ヘクタール)、カイメップハー物流センター(906ヘクタール)、ロンソン総合港湾プロジェクト(42ヘクタール)、バウバン~チーバイ・モクバイ鉄道計画。
  • 工業団地・エネルギー開発:洋上風力発電8つのプロジェクト〔総発電容量約1万5,000メガワット(MW)〕、ロンソン液化天然ガス(LNG)火力発電所(2031~2035年稼働予定)、5,000ヘクタール以上の工業団地開発(VSIP3、カイチュオン工業団地、チャウドゥック工業団地1~3)、ロンソン石油工業団地、フーミー工業団地
  • 商業サービス:全長約350キロの都市鉄道網の構築、リゾートホテル開発、ブンタウ地区の観光・複合施設の開発、ブンタウ国際旅客港

本会合では、ホーチミン市都市鉄道の2035年までの計画も発表され、直近では2026年1月にホーチミン市鉄道2号線(ベンタイン~タムルオン間、全長約11キロ、注2)の建設工事が開始される予定だ。ホーチミン市のグエン・バン・ドゥオック人民委員長は、外国企業が引き続き安心して投資できる環境整備とともに、グリーンエネルギー、DXなど新たな分野で協力を強化し、ホーチミン市の発展を促進していくことに期待を表明した。

(注1)ベトナムは政治・行政の効率化や経済発展の促進を目的として、7月1日から、これまでの63省・市(6つの中央直轄市と57省)から、新たに34省・市(6つの中央直轄市と28省)に再編した(2025年7月1日記事参照)。

(注2)ベトナム南部のホーチミン市で初の都市鉄道1号線(ベンタイン~スオイティエン)は2024年12月開業。同1号線は国際協力機構(JICA)が実施する円借款事業の1つ。同2号線はアジア開発銀行(ADB)、ドイツ復興金融公庫(KfW)、欧州投資銀行(EIB)の3つの主要な国際金融機関からのODA借款によって賄われる予定だったが、最終的に市の予算による建設実施へと方針を転換した。

(新田和葉、ティエン・グエン)

(ベトナム)

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