スイスに対する米国の追加関税、39%から15%に引き下げで合意

(スイス、リヒテンシュタイン、米国)

ジュネーブ発

2025年11月17日

スイス連邦政府は11月14日、米国の追加関税措置に関して、スイスとリヒテンシュタインが米国との間で拘束力のない覚書(MOU)に署名したことを共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)と併せて発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同MOUに基づき、米国はスイスに対する国別追加関税を現在の39%(2025年8月4日記事参照)から15%に引き下げる。スイス連邦参事会(内閣に相当)は同日、ギー・パルムラン副大統領兼経済・教育・研究相による13日の米首都ワシントンへの急きょ訪問と協議を経て合意に達したと発表した。

米国も同じく14日にスイスに対する国別追加関税を最大15%に制限すると発表した。スイス連邦政府によると、5月28日にスイス国内で採択された交渉権限(マンデート)と、8月4日に連邦議会で承認された米国との2国間物品貿易赤字の削減を目的とするスイスの提案に基づき、綿密な協議を経て合意に至ったとしている。

スイスは今回のMOUに基づき、米国の輸入関税引き下げと同時に、一連の米国製品に対する輸入関税引き下げを行う。これには、全ての工業製品や魚介類に加えて、スイスがセンシティブではないとみなす米国産農産物も含まれている。その他の米国の輸出関心品目については、スイスの農業政策上の利益を考慮した解決策で合意した。この合意に基づき、スイスは米国に対して、米国からの特定の輸入品目について、無税とする関税割当枠を付与するとしている。対象となるのは、牛肉500トン、バイソン肉1,000トン、鶏肉1,500トン。これらの市場アクセス譲許の実施時期は米国の関税引き下げと同時に行うよう米国と調整する予定だ。

さらに、スイス企業は2028年末までに2,000億ドル相当の米国への直接投資を計画しており、これには職業教育訓練の強化も含まれる予定だとした。

なお、連邦政府は、全体的な関税は4月に追加関税が導入される前よりも高いままだが、合意した追加関税の引き下げはスイス経済にプラスの影響を与えると期待されるとした。

(田中晋)

(スイス、リヒテンシュタイン、米国)

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