RCEP発効後初の首脳会合、2027年包括的見直しへ準備開始を指示

(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド)

ジャカルタ発

2025年11月25日

第5回地域的な包括的経済連携(RCEP)首脳会合が10月27日、マレーシア・クアラルンプールで開催された。同会合の開催は、同協定が2022年に発効して以来初めて。会合後に発表された共同首脳声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、RCEPが地域的および世界的な課題に継続的に対応するため、閣僚および関係当局に対して次の事項を指示した。(1)RCEP協定の完全かつ効果的な履行の強化、(2)RCEP協定の基準(スタンダード)を維持しつつ、加入申請国・地域(注)の加入プロセスの推進、(3)2027年に予定されている協定の包括的見直しに向けた準備を開始し、公平な競争環境を確保するとともに、強靭(きょうじん)な国内・地域成長を促進するため、RCEP協定の履行加速に関する方策について議論を継続すること。なお、包括的な見直しに向けては、現代的かつ新興の課題に対応する規定を盛り込む選択肢を検討することとされた。

ASEAN+3の首脳ら、地域の結束強化を強調

第28回ASEAN+3(日本、中国、韓国)首脳会合が10月27日、マレーシア・クアラルンプールで開催された。会合後、ASEAN事務局(本部:インドネシア・ジャカルタ)は首脳声明を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

首脳声明では、「不確実な環境下における地域経済・金融協力や、包摂的かつ持続可能な開発の推進に向けたASEAN+3による共同努力の重要な役割を認識する」とした。また、多国間主義の維持や、共通の課題や高まる不確実性への対応における地域の結束と協力の強化、さらにASEAN中心性の維持の重要性などを強調した。さらに、ASEAN中国自由貿易地域(ACFTA)3.0(2025年11月17日記事参照)、ASEAN韓国自由貿易地域(AKFTA)、ASEAN日本包括的経済連携協定(AJCEP)ならびにRCEP協定などを含む、ASEANとプラス3との間の協定に基づくコミットメントを完全かつ効果的に実施し、積極的に活用することにコミットするとした。

民間セクターによるセッションには、東アジアビジネス評議会(EABC)のアズマン・ハシム議長、任鸿斌氏(中国国際貿易投資促進委員会会長)が参加した。両氏は、EABCとして「東アジアサプライチェーン調整諮問評議会」の設立を提案したほか、同評議会を通じて政府と産業界が連携し、リスクの監視、サプライヤー不足への対応、物流やデジタル化に関する課題への対処を推進することなどを提案した。また、EABCがジェトロと共同で実施したアンケート調査の結果が紹介された。

(注)各種報道によればRCEP協定には、香港、スリランカ、チリ、バングラデシュがそれぞれ加入申請をしている。

(大滝泰史)

(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド)

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