第3四半期のGDP成長率、前年同期比3.8%、通年見通しを上回る

(香港)

香港発

2025年11月07日

香港特別行政区政府統計処は10月31日、2025年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(速報値)が前年同期比3.8%と発表した(添付資料図参照)。前期(2025年4~6月)から0.7ポイント上昇し、香港政府が2月26日と8月15日に公表した2025年通年のGDP成長率見通し(2.0~3.0%)を上回った(2025年3月3日記事8月28日記事参照)。

第3四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、個人消費支出は前年同期比2.1%増と、前期(1.9%増)から0.2ポイント上昇した。政府消費支出は1.6%増で、前期(2.5%増)から0.9ポイント低下した。固定資本形成は4.3%増と、前期(1.9%増)を2.4ポイント上回った。財の輸出は12.2%増で、前期から0.7ポイント上昇、財の輸入(11.7%増)は前期から0.9ポイント低下したが、いずれも2期連続の2桁増となった。このほか、サービス輸出(6.1%増)、サービス輸入(2.6%増)はともに、前期から増加幅が縮小した。

香港政府報道官は同期の実質GDP成長率について、「輸出と内需の継続的な拡大に支えられ、成長が勢いづいた」と評価した。また、サービス輸出が前年同期比で増加を継続している要因としては、インバウンドの継続的な成長と世界の株式市場の上昇を背景とした越境金融活動の活発化を挙げた。

香港経済の今後の見通しについては、2025年末に向けて安定的な成長を続けるとの見通しを示した。その要因として「電子関連製品に対する堅調な需要が引き続き財の輸出を牽引する上、米国の利下げを受けて不動産市場や消費者心理の回復が見込まれる」と指摘している。他方で、外部環境の不確実性、特に貿易面での障壁が世界経済や貿易、金融情勢にもたらす影響には引き続き注視が必要だとした。

嶺南大学客員研究教授の何濼生氏は第3四半期の経済成長について、「民間投資が力強い伸びを示しており、企業の景況感が回復していることが表れている」と指摘し、「低金利と米中貿易摩擦の緊張緩和に支えられ、香港経済の成長は第4四半期(10~12月)まで続くだろう」との見方を示した。(「RTHK」10月31日)

なお、香港政府は11月14日、2025年第3四半期のGDP成長率の詳細を公表する予定だ。

〔黄莃倫(ケリー・ウォン)〕

(香港)

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