アジア開発銀行、トルコで活動開始

アジア開発銀行（ADB）の神田眞人総裁は11月13日、訪問中のトルコで同国のレジェップ・タイップ・エルドアン大統領やジェウデット・ユルマズ副大統領、メフメト・シムシェキ国庫・財務相らと会談し、同国の国家開発アジェンダの支援に向けたADBのコミットメントを表明した（11月13日付ADBニュースリリース）。

トルコ向けの初融資となるパッケージは、震災復興支援の1億5,000万ユーロの公共部門向け融資と、アクバンクおよびデニズバンク向けのそれぞれ1億ドルの民間部門向け融資ファシリティから成る。ADBとトルコ国庫・財務省は11月12日、公的部門向け融資契約に署名した。またADBは、トルコ政府の、トルコ・シリア大地震後の経済安定化に向けた取り組みを評価し、2026年以降も同国への支援規模を維持し、開発アジェンダを前進させるための支援を提供する方針としている。11月13日のADB総裁とトルコ大統領の会談において、同総裁は、2026年および2027年に年間30億ドル規模のプロジェクト向け資金を提供する意向も示した。

また、ADBは公共部門での活動に加え、トルコの民間部門への関与も深化させる方針だ。同総裁は、トルコの持続可能な発展の次なる段階に向けたグリーンな成長を加速させる協力により、同国の起業家を支援する用意がある旨を表明した。

トルコは、1991年以来ADBの域外加盟国だったが、2025年5月に、ADBの域内加盟国となった。ADBによると、今回の同総裁の訪問はADBのトルコでの業務開始と暫定国別支援戦略の立ち上げを機に実現したという。

（井口南）