香港政府が3回目のデジタルグリーンボンドを発行、発行額は世界最大に

(香港)

香港発

2025年11月19日

香港政府は11月11日、政府サステナブル債券プログラムのもとで、香港ドル、中国元、米国ドル、ユーロ建てのデジタルグリーンボンド約100億香港ドル(約2,000億円、1香港ドル=約20円)相当のプライシング(価格設定)が成功裏に完了したと発表した。デジタル債としては過去最高かつ世界最大となる。具体的な決定額は、次のとおり。

  • 25億香港ドル(HKD)の2年物:利率2.5%
  • 25億中国元(RMB)の5年物:利率1.9%
  • 3億米国ドル(USD)の3年物:利率3.633%
  • 3億ユーロ(EUR)の2年物:利率2.512%

香港政府は今回の発行について、2023年と2024年の成功に続く債券トークン化の新たなマイルストーンと位置づけている。従来の発行で導入されたデジタルネイティブ形式での発行、伝統的な市場インフラを通じた投資家アクセスの選択肢の提供、グリーンボンドの開示とデジタル資産プラットフォームの統合といった革新的な特徴を維持しつつ、今回は、決済プロセスへのデジタル通貨の統合、発行規模の拡大、国際標準化機構(ISO)規格で定義されたデジタルトークン識別子(DTI、注)の採用など、国際基準の採用を推進する分野で新たな特徴を加えることで、画期的な成果を達成したとした。

陳茂波(ポール・チャン)財政長官は、応募が活況だったことはトークン化商品に対する市場の支持を反映したものだとした上で、今後の香港政府としての方針について「政府はトークン化された債券の発行を常態化し、包括的基準の確立を支援するとともに、デジタル金融のより広範な応用に向けた革新的な商品やサービスの促進に努める」と述べた。

今回発行されたデジタルグリーンボンドの主な特徴は添付資料表で確認できる。

(注)デジタルトークン(分散型台帳技術を使用した、通貨ではない、アセット間で相互交換可能なデジタル資産。例として暗号資産、ステーブルコインなど)を識別するために使われる文字の集合体のこと。

(越川剛)

(香港)

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