国務院、民間投資促進に向けた13項目の措置発表

(中国)

北京発

2025年11月12日

中国国務院は11月10日、「民間投資の一層の促進に向けた若干の措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(国弁発〔2025〕38号)を発表した。同措置では、参入分野の拡大や、事業展開での障壁の撤廃、金融支援の強化という3分野にわたる13項目の措置を盛り込んでいる。

参入分野の拡大では、鉄道、原子力発電、水力発電、石油・ガスパイプラインといった国家レベルの許認可が必要なプロジェクトで、民間資本の参加可能性を検討し、条件を満たすプロジェクトでは民間資本の出資比率を10%以上に設定可能とした。また、都市インフラ分野で民間資本による小規模な新規事業への参画を奨励し、低空経済(注1)分野のインフラ整備に民間資本を誘導する。このほか、サービス業で不合理な参入規制を見直し、工業デザイン、共通技術サービス、検査・試験、品質認証、デジタルトランスフォーメーション(DX)といった生産者向けサービス分野への民間資本による投資を支援する。

事業展開での障壁撤廃では、政府と民間が協力する事業や入札・応札で、民間企業に対する不合理な参加条件の設定を禁止する。また、政府調達では400万元(約8,800万円、1元=約22円)を超える工事調達プロジェクトで、予算総額の40%以上を中小企業向けに割り当てる規定を厳格に適用する。さらに、電力網への接続、石油・ガスパイプラインの利用、鉄道の輸送能力の割り当てなどで、民営企業の合法的な権利を確保する。このほか、重点産業・分野で、民営企業によるパイロットプラント建設を支援するほか、業界を主導する民営企業などによるサプライチェーン全体のデータ連携を促進するデジタルプラットフォームの構築を支援し、川上から川下までの中小企業のDXを推進する。

金融支援の強化では、中央政府の予算や政策金融ツールを活用し、条件を満たす民間投資プロジェクトを支援するほか、金融資源が科学技術分野の企業へ的確に配分されるよう誘導する。

中国経済を取り巻く不確実性が高まっている中、民営企業への支援が強化されている(注2)。習近平国家主席は2月17日に北京市で開かれた民営企業座談会で、民間経済支援策が着実に実施されるよう指示した(2025年2月21日記事参照)。また、「民間経済促進法」が5月20日から施行された(2025年5月7日記事参照)。

(注1)空飛ぶクルマやドローンなどの手段を用いて、低空飛行による乗客・貨物輸送を事業化し、社会変革をもたらす活動を指す。

(注2)国家統計局の発表では、2025年1~9月の民間固定資産投資(農家を除く)は前年同期比3.1%減と、4カ月連続でマイナス成長となった。

(張敏)

(中国)

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