先端製造の国際展示会ITAP2025、AIが焦点に

(シンガポール)

シンガポール発

2025年10月23日

シンガポールのジェフリー・シオ運輸相代行兼上級国務相(財務担当)は1015日、シンガポールのような先進国にとって先端製造業の重要性が一層高まっているとの認識を示した。また、シオ運輸相代行は「人工知能(AI)の登場により、製造プロセスや設備が飛躍的に高度化している」と指摘した。先端製造の国際会議・展示会「インダストリアル・トランスフォーメーション・アジアパシフィック(ITAP2025」での開幕演説で述べた。

ITAPは、ドイツの総合産業見本市「ハノーバーメッセ」の関連イベントで、今回で8回目の開催となる。2025年のイベントでは、AI活用による製造活動の効率化や、省人化のためのロボットや自動化技術が焦点となった。シオ運輸相代行は、半導体やヘルスケア、特殊化学品、航空など多くの製造業部門が変革を迫られているとし、政府は8月に長期的な経済戦略的な見直しを行う委員会を発足したと説明した。米国の関税措置を受けて設置された、政労使タスクフォース「シンガポール経済レジリエンス・タスクフォース(SERT)」の下に5つの委員会が設けられ、同代行はそのうち国際競争力の見直しを行う委員会の共同委員長を務めている(2025年8月7日記事参照)。

写真 ITAP2025開幕で記念撮影に応じるジェフリー・シオ運輸相代行(左から2人目)(ジェトロ撮影)

ITAP2025開幕で記念撮影に応じるジェフリー・シオ運輸相代行(左から2人目)(ジェトロ撮影)

また、シオ運輸相代行は演説の中で、先端製造における技術競争力を高め、新たな成長機会を創出するには知見、設備、人材のネットワーク構築が不可欠だと強調した。設備の例として、2019年から先端製造の拠点として開発が進む同国西部のジュロン・イノベーション地区(JID)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを挙げ、同地区内の新たな施設「ブリム・スクエアPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(総床面積約11万平方メートル)」が完成したことを明らかにした。同施設は研究開発(R&D)から試作、製造までを一体的に行う総合施設で、アイデアから市場投入までの時間短縮が期待されている。

今回のITAP(10月15~17日)には、ドイツをはじめ米国、日本など24カ国・地域から約280社が出展した。日系では、アズビル(本社:東京都千代田区)、キーエンス(大阪府大阪市)、Doog(ドーグ、茨城県つくば市)など、大手企業からスタートアップまで幅広い企業が参加した。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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