進出日系企業は中間選挙後の為替政策・為替動向に注目

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年10月24日

ジェトロは10月9日、セミナー「2025年アルゼンチン中間選挙の見通しとミレイ政権の行方」を開催し(2025年10月17日記事参照)、参加者に中間選挙後に注目する政策について、アンケート調査を行った(添付資料図1~3参照)。回答数は11、回答率17.2%だった。

それによると、中間選挙後に起こり得る制度変更のうち、自社のビジネスに影響を与える可能性があるものとして最も回答数が多かったのは、為替政策の変更・為替動向だった。4月14日以降、アルゼンチンの為替制度はバンド制が採用されており、毎月1%拡大するバンドの上限と下限の範囲内で為替レートが変動する。足元では、為替レートはバンドの上限を突破する(ペソ安)、あるいは上限付近で推移しているが、為替レートをバンド内に収めるために中銀が介入しようにも、外貨が不足しているほか、外貨準備の蓄積が進まないという問題が生じている。バンド制はペソの過大評価につながり、輸出競争力を損なっているといった問題も指摘されており、選挙後もバンド制が維持されるかどうかについては、さまざまな見方がある。

中間選挙で与党の勝利の定義は難しいが、下院で3分の1以上の議席を確保できれば、野党提出の歳出拡大につながる法案の成立を阻止することができるため、単独、あるいは連携相手と合わせて3分の1以上の議席確保は、与党が守るべき最低ラインと考えられている。選挙の結果、仮に3分の1のラインを下回り、政権運営が不安定になる場合、投資判断や在庫戦略にどのような影響があるかを尋ねたところ、為替・金融リスクへの対応強化、今後の新規投資の延期という回答数が高かった。新規投資については、延期はしないまでも、投資環境の見定めには、より慎重になると思われるとの意見もあった。

今後の事業戦略で地方政治の動向をどの程度重視するかも尋ねた。アルゼンチンは連邦国家で、天然資源の所有権は州政府に帰属する。上院は24州(ブエノスアイレス自治市を含む)が等しく3議席を持ち、州知事の意向を酌んで動く議員が多いなど、事業によっては州政府の動向も重要になる。非常に重視する、一部重視するという回答数が最も多く、同国で高まる資源ビジネスへの関心を反映した結果となった。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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