トランプ米大統領、大統領輸出評議会(PEC)の廃止を決定
(米国)
ニューヨーク発
2025年10月08日
米国のドナルド・トランプ大統領は9月29日、特定の連邦政府の諮問委員会を2027年9月30日まで継続するよう命じる大統領令を発表した。この中に、大統領輸出評議会(PEC)が含まれていなかったため、50年以上続いたPECは2025年9月30日をもって廃止された。
PECは、貿易に関する国家諮問委員会の役割を担っており、米国の貿易に影響を与える政府の政策に関して、商務長官を通じて大統領へ助言するほか、ビジネス界、産業界、農業界、労働組合、政府間で貿易関連の課題の解決に向けた議論を行う組織だ。1973年に設置され、委員は大統領が選任する。
バイデン前政権下では、大手企業の役員のほか、全米自動車労働組合(UAW)のショーン・フェイン会長も委員となり(2024年6月4日記事参照)、合計で4回開催された。2024年3月には当時のジーナ・レモンド商務長官が、サプライチェーンの強靭(きょうじん)性、デジタル経済、クリーンテクノロジーといった分野でタイと関係を強化するため、PECを率いてバンコクを訪問し(2024年3月26日記事参照)、PECはタイとの通商関係強化に関する大統領宛ての提言書を採択するなどしていた(2024年6月13日記事参照)。
一方で、トランプ政権1期目では、PEC自体は存続したものの、会合は開催されなかった。今回の大統領令をもって、PECは廃止されることになったが、米国通商専門誌「インサイドUSトレード」(10月3日)によれば、ホワイトハウスはその理由を明示していない。
なお、貿易に関係する諮問委員会では、貿易環境政策諮問委員会は継続される。同委員会は1994年に米国通商代表部(USTR)内に設置された。環境保護団体、産業界、農業、サービス業、非連邦政府機関、消費者団体などの代表者で構成され、貿易および環境に関わる課題についてUSTR代表に政策提言を行う組織となっている。
(赤平大寿)
(米国)
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