レモンド米商務長官がフィリピンとタイ訪問、貿易投資ミッションや大統領輸出評議会の成果強調

(米国、フィリピン、タイ)

ニューヨーク発

2024年03月26日

米国商務省は3月19日、ジーナ・レモンド商務長官によるフィリピンおよびタイ訪問の成果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。大統領貿易投資ミッションのフィリピンへの10億ドル以上の投資や、大統領輸出評議会(PEC)を通じたタイとの2国間商業関係の強化、インド太平洋経済枠組み(IPEF)交渉の進展などを成果として挙げた。

レモンド長官は3月11~12日に、初めての大統領貿易投資ミッションとして、米国の22の主要企業および非営利団体(NPO)の役員らを率いて、フィリピンのマニラを訪問した。レモンド長官はフィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領と会談し、インド太平洋全域における商業関係強化と強靭(きょうじん)なサプライチェーン構築のための協力について議論するとともに、米国がフィリピンとの強固な貿易・投資関係を重視していることを再確認した。

またミッションの参加者は、総額で10億ドル以上(注)の米国による対フィリピン投資を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。例えば、ヒップホップグループ、ブラック・アイド・ピーズのメンバーであるアップル・デ・アップ氏が創設した、アップル・デ・アップ・ファウンデーション・インターナショナル(APLFI)は、アリゾナ州本拠の電気自動車(EV)関連サービス企業のレガシーEVと提携して、フィリピンで初めての電動モビリティー教育開発センターを開設する。グーグルは、フィリピン貿易産業省(DTI)のバーチャルキャンパスで、デジタル領域における知識と問題解決能力を身につけるグーグルの認定資格プログラムを開始する。さらに同社は、2025年末までに台湾・フィリピン・米国(TPU)海底ケーブルシステムを完成させる。また、ユナイテッド航空は2024年7月31日から、成田空港とフィリピンのセブ島の直行便を開設する。これにより、セブ島に毎日フライトを運航する唯一の米国の航空会社となる。商務省は、これらの投資により、推定3,000万人以上のフィリピン人に、教育とキャリアの機会を提供するとしている。

レモンド長官はフィリピン訪問後の3月13~14日に、製造業、サプライチェーンの強靭性、デジタル経済、クリーンテクノロジーといった分野におけるタイとの商業関係強化を目的として、PECを率いてバンコクを訪問した。タイのプームタム・ウェーチャヤチャイ副首相兼商務相との会談では、デジタル経済、クリーンエネルギー、持続可能性、半導体など、貿易投資上の優先課題について議論した。またIPEFを通じた、外交および商業関係強化についても議論した。

タイ滞在中の14日には、IPEFのオンライン閣僚会合を開催し、交渉中だったクリーン経済と公正な経済の協定文を公表したほか、閣僚理事会の創設などIPEFの運用体制に関する協定文も公表した(2024年3月15日記事参照)。

大統領貿易投資ミッションやPECへのレモンド長官の参加は、2023年5月にIPEFサプライチェーン協定が実質妥結した際に公表されていた(2023年5月29日記事参照)。IPEFについては、市場アクセス交渉がないことから、具体的な経済やビジネス上のメリットがないとの批判があり、ミッションを通じたフィリピンへの具体的な投資案件の発表などは、こうした点に対応するものとみられる。

(注)既に投資が完了した案件や、これから投資が行われる案件も含む。

(赤平大寿)

(米国、フィリピン、タイ)

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