IMF、ロシアの2025年の成長率見通しを0.6%に下方修正

(ロシア)

調査部欧州課

2025年10月20日

IMFは10月15日、世界経済見通しを発表した。ロシアの実質GDP成長率について、2025年は0.6%、2026年は1.0%と予測した。7月時点の見通し(2025年8月5日記事参照)と比較して、2025年は0.3ポイントの下方修正、2026年は据え置きとなった。IMFは成長鈍化の要因として、2024年第4四半期(10~12月)に財政支出が集中し、GDP成長率が押し上げられた反動が2025年に現れると指摘している。

IMFの見通しは、ロシアの経済発展省と中央銀行の予測を下回っている。経済発展省は9月に発表したマクロ経済予測で、2025年の実質GDP成長率を1.0%、2026年を1.3%とした。2025年1~7月のGDP成長率は1.1%となり、景気の冷え込みの主な要因として、金融引き締めによる消費や投資など内需の鈍化を挙げた。一方、マクシム・レシェトニコフ経済発展相によると、2027年以降の成長率は消費者需要に支えられ、徐々に加速する見通しという。レシェトニコフ経済発展相は、国民の実質賃金と所得の伸びや、金融政策の緩和に伴う貯蓄率の緩やかな低下が内需を下支えすると指摘した(「ベドモスチ」9月24日)。

ロシア中銀が7月25日に発表した中期予測によると、2025年の実質GDP成長率は1.0~2.0%、2026年は0.5~1.5%、2027年は1.5~2.5%だった。

世界銀行は10月7日に発表した「ヨーロッパ・中央アジア経済報告」の最新版「雇用と繁栄」の中で、ロシアの経済見通しについて、2025年のロシアの実質GDP成長率を0.9%、2026年は0.8%、2027年は1.0%と予測した。6月に同行が発表した世界経済見通しと比較して、2025年は0.5ポイント、2026年は0.4ポイント、2027年は0.2ポイントそれぞれ下方修正した。世界銀行は成長見通しの下方修正の背景として、金融引き締めや財政支出の縮小、輸出の低迷に加え、長期化する国防費支出や政府主導の融資への過度な依存がもたらす労働力不足や信用リスクの上昇を挙げた。

(小野塚信)

(ロシア)

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