最先端の半導体研究機関NY CREATESと国際連携協業を推進、ジェトロが米NY州半導体ミッション
(米国)
ニューヨーク発
2025年10月15日
ジェトロが10月1~3日に米国ニューヨーク(NY)州に派遣した半導体分野の視察ミッション(2025年10月8日記事参照)は3日、NY州オルバニーにある世界最先端の半導体研究機関NY CREATES(NYクリエーツ)を訪問した。
ジェトロは2024年12月、NY CREATESと半導体分野の連携強化を目的とした覚書(MoU)を締結している。日本国内主要地域の半導体エコシステム発展のため、オルバニー周辺エリアと日本の各地域間で、研究開発や人材育成などの連携促進を目指すものだ。同MOUの下、さまざまなプロジェクトを進めており、今回の視察ミッションによる訪問もその一環に位置づけられる。NY CREATESはこれまで、米国内外の産官学のパートナーと緊密に協力してきた実績があり、同施設内には、東京エレクトロンの在米研究開発センターとして20年以上の歴史を持つTEL Technology Center, America (TCCA)も入居している。
視察冒頭のセッションでは、NY CREATESの最高執行責任者(COO)のポール・ケリー氏から、ウエルカムスピーチとNY CREATESの概要に関する説明があった。同氏によると、NY州全体で半導体コリドーの開発が進む中、同州の州都オルバニーは州立大学オルバニー校(SUNY)やNY CREATESなどを中核に、半導体の研究開発の役割を担っているという。また、ベルギーにある世界最先端の半導体研究開発機関imec(アイメック)との比較では、同氏は「アイメックが長期の研究開発を目指しているのに対して、NY CREATESは5~7年で商業化する技術の開発を目指しており、互いに補完関係にある」と強調した。
ミッションが今回視察した建設中のクリーンルームは5万平方フィート(約4,645平方メートル)の延床面積を有し、オランダの半導体製造用の露光装置大手ASMLの高NA EUV露光装置(注)が導入される予定だ(2024年7月4日付地域・分析レポート参照)。
連携協業の事例紹介のセッションでは、TCCAのバイスプレジデントのシタラン・アルカルグド氏、SUNYオルバニー校のナサニエル・シンディー氏、レンセラー工科大学のバイスプレジデントのロバート・ハル氏、IBM セミコンダクターのネルソン・フェリックス氏の4人が登壇し、各大学や企業が最先端の研究開発や人材育成プログラムに関して、NY CREATESとどのようなかたちで連携を進めているかについて紹介を行った。
ジェトロは、日本の半導体エコシステムの成長に貢献するべく、今後も日本企業や大学などとNY CREATESをつなぎ、積極的に日米間の国際連携協業を後押ししていく。
(注)EUVはExtreme Ultraviolet(極端紫外線)の略。EUV露光技術は半導体回路の微細加工に不可欠で、露光装置のレンズ口径を表す開口数(NA)を高めることで、さらなる微細化が実現する。
(遠藤壮一郎)
(米国)
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