2025年の輸出量のWTO予測、中東は前年比2.0%増、アフリカは5.3%増

(中東、アフリカ)

調査部中東アフリカ課

2025年10月20日

WTOは10月7日、「世界貿易見通し(10月更新版)」を発表し、2025年の世界の財貿易量(輸出入平均)の伸びを前年比2.4%増と予測した(2025年10月16日記事参照)。一方、2026年の財貿易量予測は、世界経済の減速と関税引き上げの影響があるとし、4月時点の予測から2.0ポイント下方修正の前年比0.5%増との見込みだ(4月時点では2.5%増との予測)。

中東の輸出量をみると、2025年は4月時点の予測から3.3ポイント下方修正の前年比2.0%増(4月時点では5.3%増)、2026年は6.0ポイントの下方修正で0.9%減との見込みだ。中東の輸入量では、2025年は2.6ポイント下方修正で前年比3.7%増、2026年は5.0ポイント下方修正で1.8%増との見込みだ。輸出入ともに関税のほか、地政学的な影響や、石油生産調整の影響もある。一方、中東ではサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)における政府主導のデジタル化を反映し、2025年前半にサーバーや通信機器の輸入は増加しているという。

2024年の輸出入でUAE、サウジアラビア、トルコがシェア上位

2024年実績の輸出額で、国別1位は中国の3兆5,770億ドルで世界シェア14.6%のところ、中東ではUAEがシェア2.5%で11位、サウジアラビアがシェア1.2%で26位、トルコがシェア1.1%で30位だった。2024年の輸入額で、国別1位は米国の3兆3,590億ドルで世界シェア13.6%のところ、中東ではUAEがシェア2.2%で14位、トルコがシェア1.4%で22位、サウジアラビアがシェア0.9%で30位だった。なお、日本は輸出額シェア2.9%で5位、輸入額シェア3.0%で7位だった。

アフリカの2025年の輸入量は前年比11.8%増

アフリカの財貿易で輸出量をみると、2025年は4月時点の予測から4.7ポイント上方修正の前年比5.3%増、2026年は1.7ポイントの下方修正で増減なしとの見込みだ。2025年上半期は消費財の輸出が伸びたという。また、4月時点では米国による高い関税率が設定されていたが、報告書作成時点では関税率が下がった国も多い。アフリカの輸入量では、2025年は5.4ポイント上方修正の前年比11.8%増で地域別で最も高い伸びを示すとの予測だ。自動車や船、機械の輸入が伸びているという。また、同報告書では、南アフリカ共和国、ナイジェリア、エジプトでは2025年前半に通信インフラの輸入が増加しており、デジタル普及が示唆されると指摘した。なお、2026年のアフリカにおける輸入量は0.1ポイント上方修正で5.4%増との見込みだ。

(井澤壌士)

(中東、アフリカ)

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