コートジボワール大統領選挙を目前に、抗議デモで約700人を拘束
(コートジボワール)
アビジャン発
2025年10月23日
10月25日に大統領選挙の投票日を迎えるコートジボワールで10月16日、アビジャン裁判所の検察官で対テロ部門の責任者であるウマル・ブラマン・コネ検察官は、アビジャンや内陸の複数の都市で起きたデモに関し、約700人が逮捕されたことを発表した。また、10月11日にアビジャンで起きた抗議デモに関する初期捜査の結果、逮捕者の携帯電話から、交通まひ、外国大使館の閉鎖車両への放火を指示するなど、政治的な抗議を超えたやり取りが見つかったと発表し、これらはテロ行為に当たると非難した。コネ検察官は若者に対して、国の安全を脅かす行動を控えるよう呼びかけ、これらの行動に対しては責任を厳しく追及する方針を示した(10月17日付「リンフォドローム」)。また、現地複数報道によれば、10月16日と21日には、デモ参加により逮捕された計58人に対して懲役3年が言い渡されている。
政府は10月17日、選挙期間中の公共の秩序と国家の安全を維持することを目的に大統領選挙のプロセスの枠組みで行われる選挙活動を除き、すべての地域で集会やデモ活動を2カ月間禁止する共管省令を、テネ・ビライマ・ワタラ国防相とヴァゴンド・ディオマンデ内務・治安相の連名で発令した。
憲法評議会が9月8日、大統領選最終候補者リストを発表したが、野党の主力候補者は除外された(2025年9月25日記事参照)。政府は、10月2日に国家安全保障会議を開催し、憲法評議会の決定に対するいかなる異議申し立ても認めず、異議を唱えることを目的とした集会やデモの禁止を含め、秩序と安全のために必要な措置を講じるよう指示していた。一方、主要野党は共同戦線を結成し、10月11日にアビジャンで許可を得ない抗議デモを実施したが、治安部隊による介入により、237人が拘束された(10月2日付「APAニュース」)。共同戦線は、その後も毎日、デモを行うことを呼びかけている。10月13日と14日には、ボヌア、ラ・メ、ガニョアなど、野党勢力が強い複数の地域で道路封鎖などの抗議活動が確認され(10月15日付「ジュヌ・アフリック」)、10月20日には、首都ヤムスクロの地方選挙管理委員会事務所が抗議者に襲撃された(10月21日付フラマト・インフォ)。
なお、在コートジボワール日本大使館は、大統領選挙の期間中に大勢の人が集まる場所等では十分に注意するよう情報発信している(10月18日付外務省ウェブサイト)。10月25日の投票結果については11月11日までに確定し、第1回の投票で過半数を得る候補者が出ない場合は11月29日に第2回投票が実施される予定だ(2025年9月25日記事参照)。
(長屋幸一郎、橘欣子)
(コートジボワール)
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