9月の貿易赤字は321億4,000万ドルに拡大、対米輸出が減少
(インド)
ムンバイ発
2025年10月20日
インド商工省(MoCI)が10月15日に発表した「貿易統計(速報値)」によると、9月の貿易収支(サービスを除く)は約321億4,000万ドルの赤字だった(添付資料図参照)。金の輸入の増加などにより、赤字幅は8月の264億9,000万ドルから拡大した。輸出額は363億8,401万ドルで、前年同月比6.8%増加、輸入額は685億2,869万ドルで、16.7%増加した。また、追加関税発動後の影響が注目されていた米国への輸出額は54億6,564万ドルで、前年同月比で11.9%の減少となった(2025年8月8日記事参照)。
輸出額の内訳を見ると、金額の大きいエンジニアリング製品101億1,457万ドル(前年同月比2.9%増)、石油製品49億5,674万ドル(15.2%増)、電子製品31億1,575万ドル(50.5%増)、宝石類28億3,556万ドル(0.4%増)、医薬品26億2,076万ドル(2.6%増)、有機・無機化学製品23億7,642万ドル(1.8%増)など、主要品目の多くが増加した。一方で、衣料品は9億9,754万ドル(10.1%減)と減少した。
輸入に関しては、電子製品98億2,497万ドル(15.5%増)、金96億1,547万ドル(2.1倍)、電気・一般機械50億58万ドル(9.4%増)、輸送機器26億2,300万ドル(2.7%増)、非鉄金属24億4,092万ドル(16.2%増)、肥料23億6,315万ドル(3倍)などが増加した。一方で、輸入額全体の約2割を占める石油製品・原油が140億3,368万ドルで、前年同月比5.9%減少したほか、有機・無機化学製品23億3,086万ドル(4.0%減)、石炭・コークス等19億1,965万ドル(16.4%減)などは減少した。
現地報道によると、今回の統計には米国による追加関税の影響が反映され始めている。前述のとおり、米国向け輸出は前年同月比11.9%減少し、特にエビ、繊維製品、宝石類が打撃を受けた。商工省のラジェシュ・アグラワル次官は「高関税にもかかわらず、輸出全体の勢いは維持しているが、影響は品目ごとに異なり、サプライチェーンの維持が課題だ」と述べた上で、追加関税の影響が米国向け輸出品全体の約55%に及ぶとの政府試算を明らかにした(「ビジネス・スタンダード」紙10月16日)。
(篠田正大)
(インド)
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