ディスカウントスーパー大手アルディ、最低基準の畜産飼育ラベル製品の販売を中止へ
(ドイツ)
デュッセルドルフ発
2025年10月27日
ドイツの大手ディスカウントスーパーマーケットのアルディ・ズュート(ALDI SÜD)は10月20日、2026年1月中旬から、最も低い畜産飼育ラベル(基準1)で生産された牛肉や豚肉、鶏肉、七面鳥の販売を中止すると発表した。大手小売チェーンでは初の取り組みとなる。他社のブランド製品や輸入品は対象外だ。
同社は、ドイツ西部のミュールハイム・アン・デア・ルールに本社を置き、南部や西部に約2,000店舗を展開し、取扱商品の約90%がプライベートブランド製品で構成している。
畜産飼育ラベルとは、豚肉や牛肉、鶏肉などの食肉と加工品に対して、家畜がどのような環境で育てられたかを示す自主的な表示制度(2022年6月15日記事参照)だ。飼育環境を5段階に分けて評価しており、数字が大きいほど動物福祉に配慮した飼育方法であることを意味し、2026年3月からの義務化が予定されている。例えば、豚肉では、最も低い「基準1」は、法律で定められた最小限のスペースで育てられたことを示している。最も高い「基準5」は、「オーガニック」に相当し、より広いスペースと屋外に出られる環境が整っているほか、オーガニック飼料が使用されるなど、より高い動物福祉が要求される。
他のドイツの大手小売チェーンと同様に、アルディ・ズュートは2030年までに牛肉、豚肉、鶏肉、七面鳥の食肉をより高い畜産飼育ラベルである基準3以上に切り替える目標を立てており、今回の基準1の販売中止はその一環と位置づけられる。アルディ・ズュートによると、より良い飼育環境で生産した製品への需要は着実に増加しているという。
畜産飼育ラベルの認証発行機関の「畜産における動物福祉推進協会(Gesellschaft zur Förderung des Tierwohls in der Nutztierhaltung)」によると、低基準の畜産製品の市場シェアは縮小傾向にある。2023年にはパック肉売り場の豚肉の基準1の製品はわずか1.5%にとどまり、鶏肉と七面鳥では基準1の製品は既に販売されていない。一方で、牛肉の4分の3は依然として基準1に該当している。
(マリナ・プタキドウ、横澤勇輔)
(ドイツ)
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