ASEAN+3の経済成長は上方修正も2025年後半から減速、AMROの見通し改定

(ASEAN、シンガポール、中国、香港、韓国、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム、日本)

シンガポール発

2025年10月14日

シンガポールにある国際機関「ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)」は10月9日、ASEAN+3(中国・香港、日本、韓国)の実質GDP成長率(経済成長率)の予測を発表した(AMROプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2025年の経済成長率は前年比4.1%、2026年は同3.8%と、2025年7月に発表した前回見通し(2025年:同3.8%、2026年:同3.6%)から上方に修正した(2025年7月24日記事参照)。

AMROは前回予測から上方修正したことについて触れ、「(2025年)上半期の堅調な経済実績と予想を上回る輸出の勢いに支えられた」(既出プレスリリース)と説明した。しかし、AMROは報告書の中で、「ASEAN+3の輸出は2025年上半期に前年同期比で約7%拡大したが、この一部は米国関税発動前の出荷前倒しによるもの」と指摘したうえで、「最近の購買担当者景気指数(PMI)は一部の国・地域の今後の海外需要が弱まることを示唆している」とし、「年末にかけて輸出の伸びが鈍化すると予想されている」と言及した。「米国の関税引き上げは(ASEAN+3の)外需を圧迫し、2025年後半から2026年にかけて成長を弱める」との見方を示しており、2025年および2026年のASEAN+3の経済成長率は2024年の水準(前年比4.3%)から減速する。

AMROは2025~2026年のベースライン予測に影響を与える可能性のある主要な下振れリスクとして、(1)より強力な保護主義政策、(2)主要経済の成長鈍化、(3)世界的な金融市場の変動激化、(4)世界的な一次産品価格の急騰の4つを挙げた。中でも(1)については、積み替え品や現時点で関税措置の対象外となっている品目を含む、より高率かつ広範に関税が課されるシナリオの下では、2026年のASEAN+3の経済成長率は3.3%と、ベースラインシナリオよりも0.5%ポイント下がるとの試算を示した。

(朝倉啓介)

(ASEAN、シンガポール、中国、香港、韓国、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム、日本)

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