AMRO、ASEAN+3の経済見通しを下方修正
(シンガポール、中国、香港、韓国、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム、日本)
シンガポール発
2025年07月24日
シンガポールにある国際機関「ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)」は7月23日、ASEAN+3(中国・香港、日本、韓国)の実質GDP成長率(経済成長率)の予測を発表した(AMROプレスリリース)。2025年の経済成長率は前年比3.8%、2026年は同3.6%と、2025年4月2日より前に作成した予測(2025年:同4.2%、2026年:同4.1%)から下方修正した(2025年4月16日記事参照)。
2025年と2026年両年の予測の下方修正は、8月1日に発効予定の米国関税措置の影響を反映したものだ。AMROは見通しに関する説明で同関税措置について、「米国の需要を減少させ、投資の不確実性を高め、消費者信頼感を低下させるだろう」と指摘した。また「この関税措置の影響は2026年により顕著になると見込まれる。米国の関税措置と外部需要への依存度が高い地域で特に顕著だ」とする一方で、「国内需要の持続的な強靭(きょうじん)さと、エレクトロニクスや観光分野の持続的な外部需要が地域の成長を支え続ける」との見方を示した。
AMROは2025~2026年のベースライン予測に影響を与える可能性のある主要なリスクとして、(1)米国によるより積極的な保護主義政策、(2)米国と欧州のより急激な成長減速、(3)世界的な金融引き締め、(4)世界的な一次産品価格の急騰、(5)中国の経済成長の鈍化の5つを挙げた。中でも(1)については、中国に対して2025年4月2日に発表された関税率や、BRICSの反米政策に協調する国に対する追加10%の関税率、これまで免除されていた財に対して25%の関税率が課される場合、ASEAN+3の経済成長率は2026年に3%未満に減速すると試算している。新型コロナウイルス感染症が拡大した年を除くと、アジア通貨危機以来の低水準となる可能性があると分析した。
(朝倉啓介)
(シンガポール、中国、香港、韓国、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム、日本)
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