MIPCOM2025で日本のアニメーションをテーマにしたカンファレンスを開催
(フランス、日本、世界)
パリ発
2025年10月27日
世界最大級の映像コンテンツ展示会MIPCOM2025
が10月13~16日、フランス・カンヌで開催された。107カ国から約1万600人が来場し、3,340人を超えるバイヤーが参加するなど、例年どおり国際的な注目度の高さがうかがえた。
MIPCOM会場外観(ジェトロ撮影)
ジェトロは、日本のコンテンツの海外販路拡大に向けたプロモーションを目的に、バイヤーが集う「Buyers Club」内に専用スペースを設け、ジェトロが招待した海外バイヤーのみが登録できるオンライン商談プラットフォーム「Japan Street」および登録コンテンツの広報活動を行った。また会期2日目に、日本のアニメーションの魅力と海外展開をテーマとしたカンファレンスを開催。総務省情報流通行政局審議官の近藤玲子氏、東映アニメーションヨーロッパ代表の河内隆次氏、テレビ東京シニアフェローの斉木裕明氏、日本アニメーション取締役・国際部長の平塚仁美氏、バンダイナムコエンターテインメントのライセンシングマネージャーの金子実緒氏がスピーカーとして登壇し、フランスの全国紙ル・フィガロの記者ヴァランタン・パコ氏がモデレーターを務めた。各社の取り組みや、日本アニメの海外人気に至る歴史、放送・配信のみならず、IP(注1)を活用したマーチャンダイジングをはじめ、今後のビジネスの可能性についても議論が交わされた。約220人が参加し、MIPCOMという世界最大級の映像コンテンツ展示会における本カンファレンスの開催は、官民連携による海外展開の推進を発信する重要な機会となった。
ジェトロ主催の日本アニメカンファレンス(ジェトロ撮影)
また、放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)によるイベント「TREASURE BOX JAPAN
」では、日本のテレビ局によるフォーマット(注2)のピッチが行われた。
国別では、オープニングイベントでトルコのIT企業Merzigo
がスポンサーを務めるなど、コンテンツを国の重要産業と位置付けているトルコ(2025年6月9日記事参照)からの参加が特に目立った。日本からは200人超が参加し、アジアでは最多、全体でも9番目の参加規模となった。
BEAJ主催のTREASURE BOX JAPAN(ジェトロ撮影)
近年、各種VOD(注3)やFAST TV(注4)をはじめとしたオンラインサービスなど、これまでのテレビ放送以外にもコンテンツ視聴方法が増えたことにより、放送と配信の垣根はなくなってきている。2025年はYouTubeが初めてメインスポンサーの一角を担い、関連のカンファレンスの基調講演でBBCスタジオとの提携について言及。そのほか直近の業界動向として、フランスでは民放テレビ局TF1とネットフリックス、France TVとアマゾン・プライム・ビデオの連携が発表されるなど、TV局とVODとの協業が進展している。
次回のMIPCOMは、2026年10月12~15日に開催予定。
(注1)クリエーティブな活動によって生み出されたキャラクターや創作物など、知的財産として価値を持つもの。
(注2)番組のコンセプトや構成・様式などをパッケージ化し、海外のテレビ局や制作会社などへ販売するビジネスモデル。
(注3)オンデマンドで番組の視聴が可能なストリーミングサービス。VOD(Video On Demand)の略。
(注4)広告付き無料ストリーミングサービス(Free Ad-supported Streaming TV)の略。従来のテレビ放送と同様、現在放映している番組をリアルタイムで視聴できることが特徴。
(吉澤和樹、神谷龍之介)
(フランス、日本、世界)
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